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船引怜美 text by Remi Funabiki 
[2004.09.10]

●ブルース・サンソン、プロデュース、ロイヤル・バレエ『英国バレエの夕べ』

ロイヤル・バレエ(RB)のダンサーによる特別公演『英国バレ エの夕べ』がポルトガルのシントラ(7月23/24日)、イギリスのダートフォード(7月28/29日)、イタリアのバッサノ(7月31日)で上演されま した。出演はRBでも非常に人気が高く、今後の活躍が最も注目される10人:アリーナ・コジョカル、ヨハン・コポー、ディードル・チャップマン、リカル ド・セルベラ、ローレン・カスバートソン、エドワード・ワトソン、クリスティーナ・エリダ・サレルノ、マーティン・ハーヴェイ、ベサニー・ケーティング、 ヨハネス・ステパネク。

こ の特別公演をプロデュースしたのは元RBプリンシパルのブルース・サンソム。生粋のロイヤル生まれ/育ちのダンサーで“ロイヤル”スタイルのお手本と言わ れたブルースは1982年~2000年までRBファンを魅了してきました。引退後はマネージメントの勉強のためサンフランシスコ・バレエへ、そして 2002年にはイギリスに戻りランバート・ダンス・カンパニーでディベロップメント部門を担当。

そのブルースのはじめの第一歩というべき今回の『英国バレエの夕べ』では、フレデリック・アシュトンからクリストファー・ウィールドン、ウェイン・マック グレガーまで、RBの歴史、英国バレエにおいて最も重要な7人の振付家の作品が上演されました。ブルースのほか、ウェンディー・エリス・サムスが指導にあ たり、伝えられるべき“ロイヤル”スタイルがこれからのRBを背負っていくダンサー達に確実に継承されたのではないでしょうか。

イギリス各新聞は公演の企画・プログラム、ダンサー達の好演共に大変評価しています。遠征公演となったポルトガル(www.ballet.co.uk/dcforum/happening/4473.html)とイタリア(www.ballet.co.uk/dcforum/happening/4481.html)での公演リポートはイギリス最大のバレエ・ダンス情報サイトBallet.co.uk (www.ballet.co.uk)で紹介されています。そのほかにもブルース・サンソンの制作日記(www.ballet.co.uk/weblogs/sansom)、Ballet.co.ukカメラマン、ジョン・ロスによるリハーサル写真(www.ballet.co.uk/gallery/jr_sansom_07-4)が掲載され、この公演の盛り上がりぶりを十二分に味わうことが出来ます。

これほどまでにRBのレパートリー(古典からコンテンポラリーまで)が凝縮されたプログラム、ここ数年上演されていない作品の上演、今後の活躍に目が離せ ないダンサー達の競演、というRBファンにとってはこれ以上にない公演だったために、この舞台を惜しくも逃すことになってしまったロンドンのRBファン は、今後ロンドン公演が実現するのを心待ちにしています。

アシュトンのメモリアル・イヤー、ROHでのRB2004/5シーズン開幕は10月22日。今公演で上演された『シンフォニック・バリエーション』や『春 の声』の上演、ウィールドンの新作発表、ビントリー作品の上演に期待が高まります。ROHでの公演の他にも、今回のような小規模の公演がさらに企画・上演 されることも期待されます。







<プログラム>

◆ ウィリアム・タケット『ピュゥリタブール』(1998):ケルトの伝統音楽を使用し、アイルランドの民族的な生活を描いた作品。
◆ デヴィット・ビントリー『ザ・ダンス・ハウス、第2楽章パ・ド・ドロワ』(1995):リハーサルシーンを描いたショスタコーヴィッチの音楽による作品。衣裳デザインはRBダンサーをモデルに描く画家として有名なロバート・ハインデル。
◆ クリストファー・ウィールドン『トリスト、第2楽章パ・ド・ドゥウ』(2002): RBに振付けた抽象バレエ(オリジナルキャストはダーシー・バッセル&ジョナサン・コープ)。
◆ フレデリック・アシュトン『春の声』(1976):ロイヤル・オペラによるヨハン・シュトラウスのオペラ『こうもり』の2幕より花びらが舞い散る優雅でロ マンティックなパ・ド・ドゥウ(1991年収録のビデオではヴィヴィアナ・デュランテ&スチュアート・キャシディーが出演)。
◆ フレデリック・アシュトン『シンフォニック・バリエーション』(1946):RBの前身サドラーズ・ウェルズ・バレエがコベント・ガーデンのロイヤル・オ ペラ・ハウス(ROH)常任カンパニーとなった1946年、アシュトンがはじめて振付けた抽象バレエの代名詞的作品。
◆ ケネス・マクミラン『コンチェルト第2楽章』(1966):マクミランのミューズリン・シーモアがバーでウォームアップをしている姿からインスピレーションを得た叙情的パ・ド・ドゥウ。
◆ ウェイン・マックグレガー『クァリア』(2003):6月号でご紹介したマックグレガーとケンブリッジ大学神経科学科での研究・実験によって創られたもう一つの作品。
◆ アシュレイ・ペイジ『ラリーナ・ワルツ』(1993):1993年にROH行われた『チャイコフスキー没後100年記念・ウィンターガラ』の大フィナーレ を飾った、チャイコフスキーの『エウゲニー・オネーギン』2幕のワルツに4組のRBダンサー(ダーシー・バッセル、ゾルダン・ソイモジ、レスリー・コリ アー、イレク・ムハメドフ、ヴィヴィアナ・デュランテ、ブルース・サンソン、リアン・ベンジャミン、熊川哲也)のために振付けられた絢爛豪華な作品。今公 演では出演の全5組のダンサーのために再振付されました。