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船引怜美 text by Remi Funabiki 
[2004.06.10]

●ロバート・アルトマン監督『バレエ・カンパニー』がロンドンでロードショー

ロ バート・アルトマン監督、アメリカ、シカゴのジョフリー・バレエをドキュメンタリー的に描いた映画『バレエ・カンパニー』が5月7日からロンドンで公開さ れました。アメリカ、ニューヨークでは2003年クリスマスから放映されており、私小説的で生き生きとした芸術作品として高い評価を受けています。主演女 優ネーヴ・キャンベルは元カナダ・ナショナル・バレエのダンサー、脚本家バーバラ・ターナーと共同で2年間に及ぶジョフリー・バレエ密着取材、研究の末、 原案・脚本を作りました。ネーヴ以外のダンサーはすべてジョフリー・バレエのダンサーが出演しています。公演、リハーサル、レッスン、芸術監督/振付家と の対立、怪我、バレエ団幹部の様子、そしてダンサーの私生活(夜中のアルバイト、恋愛…)が鮮明に描かれています。
ロ ンドン公開に伴い、ガーディアン紙の舞踊評論家ジュディス・マックレルが、ロイヤルバレエ・ダンサー(クリストファー・サンダース、エドワード・ワトソ ン、クリスティナ・アレスティス他)やバレエボーイズ(マイケル・ナン&ウィリアム・トレビット)に『バレエ・カンパニー』の率直な感想をインタヴューし ました
http://www.guardian.co.uk/arts/features/story/0,11710,1209518,00.html
ロンドンのダンサーたちは以下のような意外にシビアな反応をしています。

_ あまりにも、ダンサーの生活が美化されすぎている。
_ 怪我の為に公演に出ることが出来なくなることや代役を立てられることが、どれだけ苦しく、つらいことか描かれていない。
_ 映画の中で上演される作品の振付には失望した
_ ダンサーとして、カンパニーの一員として生活をしていて、もっと素晴らしい瞬間はたくさんある。そのような部分が全く描かれていないことがとても残念だ。
_ バレエボーイズ談:「バレエは映画の題材としてとてもいいものなのに、その素晴らしい題材を生かすことの出来た監督はいない。僕らが作ったドキュメンタリー『Ballet Boyz 1』とこの映画にはダンス・ドキュメンタリーとして近いものを感じるけど、もし僕らにもっと資金があったら、もっとすごいダンス・ドキュメンタリー(映画)を創ることができたのに…」

ダンサーとしての生活の厳しさ、カンパニー内での競争、怪我の苦しみなどを体験している者には、お話しの世界として受けとるようなシーンがあることは否定 できませんが、ネーヴ・キャンベルをはじめジョフリー・バレエ・ダンサーの踊りはとても印象的です。振付家や芸術監督との葛藤が描かれているシーンはとて もリアルで、コミカルに描写されているシーンも多くあります。アメリカンのバレエ・カンパニーならでは(ヨーロッパのバレエでは観ることの出来ない)のレ パートリーもみどころです。ダンサーのレッスン姿、ウォームアップなどを見るもの一つの楽しみです。
ジョフリー・バレエ http://www.joffrey.com