ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2010.06.10]
From Nagoya -名古屋-

ライヴハウスに登場した 佐藤小夜子ダンス日記

構成・振付・出演:佐藤小夜子『ダンス日記 vol.2ー笑顔の法則ー』
佐藤小夜子DANCE LABORATORY
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佐藤小夜子DANCE LABORATORYによる4年ぶりの自主公演は、名古屋クラブクアトロという名古屋でもよく知られたライヴハウスを会場に行われた。最近では、クラブなどカジュアルな会場を使用したパフォーマンスも増えてきてはいるものの、ドリンク片手にダンス鑑賞とは名古屋ではまだまだ珍しいシチュエーションだ。
岐阜の三田美代子や藤井公などの元でモダンダンスを学んだ佐藤小夜子だが、最近ではダンスの領域に固執することなく、俳優や女優など、言葉を使った演劇的なパフォーマンスに果敢に取り組んでいる。今回の作品もダンスと括ってしまうことが無意味に感じられるような演劇的な要素が満載、ダンスと演劇の領域を互いに侵食していくような作品であった。

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全体で約1時間、男女9名のパフォーマーがオムニバス形式で些細な日常の場面を繰り広げていく。「朝の予感」と題した幕開けでは、8名の男女がステージの前に横一列に並んで、歯磨きなど朝の何気ないしぐさから動きを発展させ、日常に潜む数々のユニークな動きをクローズアップしてみせる。また、次の場面転換を行う進行役には佐藤自身が登場して、ダンサーらしい流麗な動きで、様々な舞台美術に変化する椅子を組み合わせたり、積み上げたりすることで、次の場面を導いていった。アイデア的には面白いが、ダンサーとしての佐藤と他のパフォーマーの身体の質感の違いが大きすぎて、効果よりも違和感の方が大きかったのが少し残念だ。
舞台を使っての男女のカップルの駆け引きや、それを眺めている女性たちの会話、詐欺にあった情けない若者の悲劇を、動きと言葉で喜劇的に面白おかしく展開していく場面はまるでコントをみているようだ。場所の特性を生かして、様々なアイデアで場面を構成していく展開は、さすがに手馴れている。ただ俳優などダンサーではないパフォーマーを中心に構成しながらも、ダンスのテクニックがあったら、と感じた動きが多かったのも事実。もっと素人ならではの動きの面白さを生かした振付にした方がよかったかもしれない。しかしダンスと演劇の境目を探る試みは名古屋では貴重だ。これからも大胆に新たな挑戦をして欲しいと思う。
(2010年5月4日 名古屋クラブクアトロ)

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(C)ダンスカフェ YASKEI
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