第39回こうべ全国洋舞コンクール速報

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

GW恒例、西日本でもっとも長い歴史を持つ「こうべ全国洋舞コンクール」が、5月3日~5日、500名以上のエントリーを得て今年も神戸文化ホールで開催された

結果については神戸新聞NEXT https://www.kobe-np.co.jp/info/youbu/2026/をご覧ください。

コンクール全体で、今年変更されたことと言えば、昨年までのグループ部門、創作部門に代わって、クリエイティブ部門が新設されたこと。以前の創作部門は振付者を、グループ部門は踊ったダンサーを評価するものだったわけだが、クリエイティブ部門も基本的に踊ったダンサーを評価するということで、グループ部門に近いといえる。ただ、グループ部門のように最優秀賞、優秀賞といった賞ではなく、他の部門同様に1位、2位、3位と順位で表彰された。

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まず、クラシック各部門の1位を紹介していきたい(一昨年から始まったバレエシューズ部門は順位付けはなく、参加者の約半数に金賞、銀賞、銅賞が与えられた)。

クラシック女性ジュニア3部(10歳~11歳)1位は、西川心結(大阪府・佐藤由子バレエスタジオ)。『コッペリア』よりスワニルダのヴァリエーションを顔が小さく手脚の長い恵まれたプロポーションを活かし、芯の強さを垣間見せて踊った。クラシック女性ジュニア2部(12歳~14歳)1位は山田美初(愛知県・森高子バレエ教室)。『パキータ』よりヴァリエーションをこなれた動きで優しげに踊ったのだが、コケティッシュな作品も似合いそう。人を惹きつけるものを持った、将来が楽しみな存在。クラシック男性ジュニア2部(10歳~13歳)1位は浅田良舞(東京都・シンフォニーバレエスタジオ)。『コッペリア』よりフランツのヴァリエーションだが、一般的に踊られるものとは全く違うヴァージョン。アントルシャ、アレグロのパが多用された振付けなのだが、そのアントルシャがとても美しい。それがかなりの回数出てくるがおとろえることもない。まだ13歳と少年ながら素晴らしい完成度。ちなみに彼の父は、東京シティバレエ団プリンシパルの浅田良和で、彼自身すでにミュージカル『ビリー・エリオット』に主演するなどの活躍もしている。

クラシック女性ジュニア1部(15歳~17歳)1位は加久見琉莉(兵庫県・村瀬沢子バレエスクール)。『ジゼル』よりヴァリーションだが、こちらも一般的に踊られるあの1幕のヴァリエーションではなく、昨年のジュニア1部1位の中島かれんが『パキータ」よりヴァリエーションとして踊った、上演されることが珍しい振付。加久見は難易度の高い振付を自分のものにして、スムーズにこなしていた。クラシック男性ジュニア1部(14歳?18歳)1位は高瀬幸太郎(兵庫県・貞松・浜田バレエ団)。『エスメラルダ』よりヴァリエーションを確かな基礎に基づいて、空中の形も目に残る美しさで踊った。ちなみに彼の父もダンサーで貞松・浜田バレエ団で活躍した高瀬浩幸。

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クラシック女性シニア1位 東川実奈美

そして、クラシック女性シニア(18歳~30歳)1位は、東川実奈美(大阪府・Twinkle A.MK Ballet)。『バヤデルカ』よりヴァリエーション。3幕の神殿が崩れる直前のガムザッティの踊りだ。難易度の高い動きも伴うヴァリエーションだが、東川は深みのある表現で、感情そのものが動きになった様、惹きこまれた。彼女は4歳から一柳多鶴のもとでバレエを初め、YAGPをきっかけに、スカラシップで高校3年生からオランダ国立バレエ学校に1年半留学。ヨーロッパでダンサーとしての就職を目指してオーディションに挑戦するがままならず、日本に戻り、いっときはまったく違った仕事に就いたという。だが、やはり踊りたくなって、近所の教室へ。現在は、その教室で指導もしながら、関西の様々な舞台に出演している。「帰国後、毎年、こうべ全国洋舞コンクールに出ていますが、なかなか納得のいく踊りが出来なかった。でも今回はやっと」完璧ではなくてもある程度納得できる踊りができたと話す。

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クラシック男性シニア1位 水沼翔輝

クラシック男性シニア(19歳~30歳)1位は水沼翔輝(大阪府・Bright Ballet Studio)。『パリの炎』よりヴァリエーションを、とてもノビノビと多回転や気持ちの良いジャンプをともなって観せてくれた。彼は2年前にジュニア1部1位で、その時のことも思い出した。母・小浜千亜輝のもとでバレエを学んで来た彼。最近は、ロシア国立バレエ学校で優秀な生徒を輩出したカラリョフ・アレクサンドルにも師事していると言い、今回の『パリの炎』についても大きな学びがあった様子。ちなみに、カラリョフは、このコンクールで幼い時に1位を獲得しロシアで活躍した多久田さやかの夫で、現在神戸で二人の学校「カラリョフ多久田バレエアカデミー」を開校している。水沼は現在、19歳。聞けば、バレエとは関係のない仕事をしながらバレエをしているという。これだけ踊れる彼、どこか良いバレエ団で磨かれればさぞや良いダンサーに、と思う。

モダンダンス部門に関しては、クラシックと決選時間が重なり、残念ながらほとんど観ることが出来なかったのだが、4日の夜に、今回新設されたクリエイティブ部門は観た。気になっていた作品が1位になっていた。Yuko-D-Academy【K.M.D.I付属】、阪本佳奈を代表とする8人が踊った『sonority?響き合う~』。個人的に、大正レトロのような、自由な空気感をともなった独特の雰囲気を感じ、動きも構成も面白く、興味深かった。
(2026年5月3日、4日、5日、神戸文化ホール 大ホール・中ホール)
※後日舞台写真等、追加の予定です

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