お話や手話通訳がついて、コンパクトな構成で観やすい、幅広い人が楽しめる貞松・浜田バレエ団ファミリーバレエ『コッペリア』
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ワールドレポート/大阪・名古屋
すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna
貞松・浜田バレエ団
ファミリーバレエ『コッペリア』貞松正一郎:振付
神戸文化ホール主催の「ウエルカムジャンボリー2026『コブホであそぼ!』」の一環として開催された公演。この公演は大ホールで行われたのだが、中ホールでは、お琴の体験も出来る「お琴でアニソン!」、エントランスや隣の大倉山公演では、DANCE BOXで活躍するダンサーたちによる「カムカムダンスパフォーマンスショー」、舞台の裏側を探検する「ホール de さんぽ」、お菓子やハンドメイド雑貨のお店が並ぶ「コブホマルシェ」と、盛りだくさんなイベントが開催されていた。

アンナおばさん:徳田尚美、舞台手話通訳:三田宏美
© 岡タカシ

コッペリウス:川村康二、コッペリア:植村菜未
© 岡タカシ
貞松・浜田バレエ団のファミリーバレエ『コッペリア』。同バレエ団は、全幕『コッペリア』もレパートリーに持っているが、こちらは、少しコンパクトで、村のお花屋さんアンナおばさん(徳田尚美)がお話したり、その手話通訳が入ったりと、バレエを観るのが初めての人も、子供から大人まで、また、障がいのある人も楽しめる工夫がいろいろとされている。私は、このファミリーバレエヴァージョンを観るのは3度目かと思うが、今回が一番、大きな会場で行われ、休憩を入れずの80分という形で上演された。
何度観ても思うが、貞松正一郎の演出は、とても優しい。悪い人が出て来ないといえば良いだろうか。スワニルダ(宮本萌)やフランツ(幸村恢麟)、その友人たちもみんな悪戯っけはあるけれど、終盤、コッペリウスが傷つくと、みんながとても心配して、力づけようとする。スワニルダの友人たちは、コッペリア人形にと花嫁のチュチュをプレゼントしたり、踊りに誘い出したり。結婚式のディヴェルティスマンは、スワニルダの友人たちがコッペリウスと踊るなど、物語の中での自然な構成になっている。
そして、何より、ラストが優しい。窓辺のコッペリア人形が、目覚めるように立ち上がり伸びをする──本当に人間になったのだ。見上げて言葉もない、感無量のコッペリウス。

『コッペリア』© 岡タカシ

スワニルダ:宮本萌、コッペリウス:川村康二 © 岡タカシ
スワニルダの宮本萌は、子ども達にも親しみやすい愛らしいルックスに確かなバレエ技術。大きな役を重ねているだけあって、安心感のある踊り。そして、フランツの幸村恢麟は鮮やかなバレエテクニックと品のある雰囲気が良い。「こんな浮気っぽいことするのは本当かなーー」と思わせる良い人オーラを感じさせるフランツ。
アンナおばさんの徳田は観客席と自然なコミュニケーションを取っているのが感じられる絶妙の間合いが良く、コッペリウスの川村の自然で深みを感じさせる演技も良い。
脇からコール・ド・バレエも納得できるレベルの仕上がりで、初めバレエを観る人が、バレエの良さを知ることができるものだったように思える。
(2026年5月30日 神戸文化ホール大ホール)

スワニルダ:宮本萌、フランツ:幸村恢麟 © 岡タカシ

スワニルダ:宮本萌、フランツ:幸村恢麟 © 岡タカシ

スワニルダ:宮本萌、フランツ:幸村恢麟 © 岡タカシ

コッペリウス:川村康二、コッペリア:植村菜未 © 岡タカシ
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