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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2018.04.10]

フレッシュな若手からベテランまで、さまざまな作品が踊られた「2018洋舞スプリングコンサート」

「2018洋舞スプリングコンサート」
安田バレエスクール、藤井喜代子バレエ研究所、江川バレエスクール、河合美智子モダンダンススタジオ、貞松・浜田バレエ団、馬場美智子アカデミ・ド・バレエ、スポットライト&abyssQ661、sAtsuki Ballet、今岡頌子・加藤きよ子ダンススペース

兵庫県洋舞家協会が、毎年、この時期に開催している創作作品発表の舞台「洋舞スプリングコンサート」。若手から超ベテランまで、さまざまな振付者による10作品が上演された。

osaka1804a0537.jpg 撮影:古都栄二(テス大阪)(すべて)

ショパンの『華麗なる大円舞曲』をアレンジした音楽に乗せて、女の子の可愛らしさを活かした安田バレエスクールの『Capricieus─気まぐれ─』で幕開け。続いては、何歳になっても創作意欲、舞台に立ち続ける意欲が衰えないことに頭が下がる藤井喜代子自作自演の『紅葉散る里』。「鬼女紅葉伝説」に想を得、女の凄みも出して踊った。
江川バレエスクールの重坂紗知子が踊った佐藤琢哉振付『should be there』は、プログラムに「そこに存在した過去と存在する筈だった未来──」と書かれている。肉体を離れた“死後”の存在だろうか、構成が上手く、集中度の高い踊り。河合美智子モダンダンススタジオの井上朝美と林かつらが振付けた『枯死ノキオク』は、牛田真紀、宮澤由紀子、井上と林の4名のダンサーが踊った。木製の脚立のようなものを使っての立体的な動きが面白く、何より、全体に流れていた独特の退廃的な雰囲気にひき込まれた。また、貞松・浜田バレエ団の池田光希が振付けて、尾﨑理沙、奥山祐香子、宮本萌、名村空、冨上こころが踊った『VOICE』は、“自分”というものと等身大で向き合った作品と言って良いだろうか。アンニュイな気分が漂ったり、若い女性が抱きやすい漠然とした不安が見え隠れしたり……。
休憩を挟んでの後半、馬場美智子アカデミ・ド・バレエの馬場美智子が振付けた『WAY』は、人の生きる道を清々しく描いて好感が持てた。白いオールタイツの岡田周子の繊細な表現力を持った踊りが良く、黒い衣装の4人とともにみせた。
そして、クリアに今も頭に残る迫力ある踊りで惹きつけたのが、sAtsuki Balletの『What I pray for』。瀬島五月の自作自演だ。2011年、東日本大震災直後に創ったものをリメイクしたのだという。ラフマニノフの音楽に乗せて、瀬島だからこそと思える身体能力で迫力たっぷりに観客に迫る。“祈り”というけれど、まるで、神に対して怒っているような、無力感から爆発するような激しさを持った“祈り”。全身で表現するというのは、こういうことなんだと実感した。
今岡頌子・加藤きよ子ダンススペースの加藤きよ子振付『花の糸』は、天井から吊された花のついたロープを活かして身体能力、表現力ともに高い4人のダンサー、嵯峨根結実、三好美希子、井上裕紀子、中東結が踊った。最後は江川バレエスクールの『VOICE OF THE RAIN』。湯川麻美子の振付だ。優しい雨、悲しい雨、激しい雨などさまざまな雨とともにある思い出、その時、その時の“想い”を、群舞の迫力を引き出して表現した。
(2018年3月4日 新神戸オリエンタル劇場)

osaka1804a0078.jpg 『Capricieux─気まぐれ─』 osaka1804a0266.jpg 『枯死ノキオク』
osaka1804a062.jpg 『花の糸』 osaka1804a0090.jpg 『紅葉散る里』
osaka1804a0392.jpg 『VOICE』 osaka1804a0419.jpg 『WAY』
撮影:古都栄二(テス大阪)