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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2012.05.10]
From Osaka -大阪-

ファドを使って深い悲しみを描いた『Saudade』他、iSバレエ・フェスティバル

演出・振付:泉ポール『Saudade』、振付:山田愛美、石川飛鳥『モーツァルト・シンフォニー』他
iSバレエ・アカデミア、泉・下森バレエ団

泉ポールと下森瑞が主催するiSバレエ・アカデミアの舞台。最初の演目はオープニング的に踊る『モーツァルト・シンフォニー』。モーツァルトの曲に団員である細山田愛美と石川飛鳥が振付けたものだ。群舞を観ていて、バレエの基礎に忠実で素直な踊りをするダンサーが多いことを感じた。

osaka1205c_18.jpg 撮影:正路隆文(テス大阪)

続くコンサートでは、クラシック・バレエからのたくさんのヴァリエーションが上演され、多くのこれから楽しみなジュニアが、女性だけでなく男性も含めて続々と育っていることを感じながら観た。
そして、そのラスト近く、大久保彩香の『グラン・パ・クラシック』よりヴァリエーションは、踊ることを心から楽しんでいる華やかさに溢れ、アンディオールのトゥールの多回転、バロネの甲は美しく、とても速いマネージと、高い技術で、大きく外に広がるような魅力があった。その次に踊られた、大久保春香の『ドン・キホーテ』第3幕よりキトリのヴァリエーションは、品を持って軽やか、そしてやはり高いテクニックも。また、小林望と上田尚弘による『ダイアナとアクティオン』のグラン・パ・ド・ドゥは、特に小林がニコニコとチャーミングで魅力的、踊りに柔らかさもあって良かった。
最後の演目は、泉ポール振付の『Saudade(「サウダーデ」ぽるとがる幻想)』。ポルトガルの伝統歌謡であるファドを使った作品で、もう3回目になる再演。ファドというと、海に出て帰らぬ人へのどうしようもない想い──といったものを思い起こす。そういったストーリーを抽象性を持って折り込みながら、それにとどまらない、8つのシーンによる構成。泉ポールと下森瑞によるさまざまな現実を受け入れてきたことを感じさせる大人の深みを持った踊り、愛する人を失った哀しみを踊りあげた大久保彩香の表現力、若い恋人たちの明るく初々しい魅力を見せた大久保春香と塚本士朗の踊りなどが集まり、人間にとっての運命や宿命、生きていく上での前向きでひたむきな力……そんな、人生そのものといえそうなものを感じさせる作品に仕上がっていた。
(2012年3月31日 兵庫県立芸術文化センター・阪急中ホール)

osaka1205c_01.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪) osaka1205c_04.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1205c_06.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪) osaka1205c_16.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1205c_11.jpg 撮影:正路隆文(テス大阪) osaka1205c_14.jpg 撮影:正路隆文(テス大阪) osaka1205c_15.jpg 撮影:正路隆文(テス大阪)