ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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桜井 多佳子 text by Takako Sakurai 
[2010.08.10]
From Osaka -大阪-

青山季可、楠本理江香、佐々木大などが活躍した吹田メイシアター公演

『白鳥の湖』2・3幕&バレエ・コンサート
吹田メイシアター
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第一部は「バレエ・コンサート」。松本真由美&ワディム・ソロマハの『眠れる森の美女』第3幕、渡辺菜於の『ラ・フィーユ・マルガルテ』に続いて登場したのは、楠本理江香&ヤコブス・ウィルフリッツの『エスメラルダ』。いわゆる「お姫様系」のイメージが強い楠本だが、今回はキャラクター色を加え、生身の女性像を描いていた。パートナーを誘うような仕草を見せ、自由奔放さも醸しながら、ステップは基本に忠実で、品は決して落とさない。コンクールで大流行のヴァリエーションも「間」を活かしながら、粋に決める。まさに大人の演技だった。

坂東ゆう子&佐々木大の『海賊』も見ごたえたっぷり。もともとアリのヴァリエーションを得意としていた佐々木が、久々に実力を発揮、じつに爽快感のある演技を披露した。よくしなる身体を目いっぱい使い、ジャンプも回転も破格。坂東の回転も安定し、良い意味で「根性」を感じさせ、それはストレートに観客の心に響いていた。

 

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矢上恵子振付の『Cheminer』は、矢上率いるK★CHANBER COMPANYが踊った。山本隆之、福岡雄大、福田圭吾ら新国立劇場バレエ団で活躍する優秀なダンサーを輩出している同カンパニーは、男性ダンサーが話題になることが多いが、矢上に、みっちりと鍛えられている女性ダンサーのレベルもすこぶる高い。2006年に初演されたこの作品は、矢上を含む7人の女性たちのダンス。スピーディな動きは、ラヴェルの『ボレロ』のリズムを切り刻むよう。だが、すべてのダンサーが、それを余裕を持ってこなしている。だから強さの中に優しさを感じる。身体能力に限界を設けず、彼女たちは踊る。男性顔負けのパワフルなダンスだが、全員がとてもチャーミング。矢上の振付作品は、男性女性の区別なく、ハードな動きを要求するが、結果、出来上がったダンスは、男性は男性らしく、女性は女性らしい。それが魅力のひとつでもある。

第二部は、『白鳥の湖』2、3幕のダイジェスト版(演出振付=樫野隆幸)。3歳から吹田の川上恵子バレエ研究所でバレエを始め、その後、橘バレエ学校などを経て牧阿佐美バレエ団に入団した青山季可が主演した。王子役は、京当侑一籠、コールド・バレエは一般公募で集められた。青山は、第2幕では緊張も見られたが、第3幕では、堂々の存在感を見せた。王子を魔性で誘惑するというよりも、自身が楽しく踊りながら、王子を仲間に引き入れるというオディールは、自然体で見ていて心地よい。京当の正統派王子像を関西で観ることが出来たのも収穫だった。
(2010年6月27日、メイシアター)

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撮影:岡村昌夫 / 文元克香(テス大阪)
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