ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2010.06.10]
From Osaka -大阪-

第23回こうべ全国洋舞コンクール受賞者に聞く

第23回こうべ全国洋舞コンクール
こうべ全国洋舞コンクール実行委員会

モダン、創作、クラシックともに、終了直後に概要と受賞者の喜びの顔などの速報をお届けしたが、今回は各部門1位と創作部門優秀賞の方々へのインタビューを中心に、今年のこうべ全国洋舞コンクールを振り返る。

まず、4月24日、25日に行われたモダン部門と創作部門。
ジュニア2部(8歳〜13歳)1位は『スゴンー布ー』を踊った小澤早嬉(金井桃枝舞踊研究所)。韓国舞踊風の魅力を持った作品を優しい美しさを持って表情豊かに踊った。「コンクールは小学校1年生の時から出ていて、今、5年生です。今日はちょっとふらついたけど、自分のなかでは上手くできたかなと思っています。今度はもうちょっとテキパキした踊りにも挑戦してみたいです」。
ジュニア1部(14歳〜18歳)1位は『ウスベニノキミノウタ』を踊った森山結貴(金井桃枝舞踊研究所)。「ひーらいた、ひーらいた」と童謡の一節が織り込まれ引きこむ作品、跳躍での空中の姿が目に焼き付くようだった。「歌を届けるというイメージ、私に合わせて先生が振り付けてくださいました。今、高校3年生、卒業してもコンクールに出るかどうかは分かりませんが、ダンスは続けていきたいと思っています」。
シニア1位(19歳〜30歳)は、『月夜にサク』を踊った佐藤宏美(Roussewaltz)。日本女子体育大学で舞踊学を専攻し、現在ダンス教師、自作自演での出演だ。「タイトルの“サク”がカタカナなのは“咲く”と“裂く”をかけています。映画『皇帝ペンギン』のサウンドトラックにあったエミリー・シモンの曲に心を動かされて創りました。観ている方に、心が踊ってもらえるような作品を創って行きたいです」。

創作部門は、最優秀賞が出ずに優秀賞1件のみで、『三体』の木原浩太(加藤みや子ダンススペース)。本人と寺杣彩、塩川友佳子の3人で踊っての受賞だが、この3人が踊っての優秀賞受賞は、なんとこのコンクール3回目。一昨年が木原振付の『青雲─あおぐも─』、昨年が寺杣振付の『朝ぼらけ』。女性2人に男性1人というグループだが、男女というよりもユニセックスでシンプルなのが魅力だ。「この作品は“からだ”そのもの──のびる体とかはじける体、体の関係性というのをテーマに創りました。踊るのも創るのも両方好きです。これからのことですか? 3人で作品を創って公演したいと準備を進めています」。

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続いては、5月2日〜5日に行われたクラシック部門。1062名のエントリーから選ばれた各部門トップ6名。
女性ジュニア2部(10歳〜13歳)1位は、『エスメラルダ』よりダイアナのヴァリエーションを踊った岡本梓(福谷葉子バレエスタジオ)。手脚が長く恵まれたスタイルを活かしての伸びやかで滑らかな踊り、アンディダンもとてもたくさんまわり、自然な笑顔を絶やさず楽しんで踊っていることが伝わってきた。「3歳でバレエを始めて、今、中学2年生です。ダイアナのヴァリエーションは、踊りたいなと思っていたら先生が選んでくださったんです」。
男性ジュニア2部(10歳〜13歳)1位は、『バヤデルカ』よりソロルのヴァリエーションを踊った二山治雄(白鳥バレエ学園)。この年齢ながらクールな雰囲気を持ち、ジャンプが大きく、前足が大きく上がったジュテが印象的。準決選の審査員の先生によると予選より決選が数段良かったということ。「ソロルは先生が選んでくださいました。昨日の予選ではあまり踊りに集中できなくて、今日は集中できたので良かったです」。
女性ジュニア1部(14歳〜18歳)は全体にかなりの高レベル、その1位を獲得したのは、『シルヴィア』よりヴァリエーションを踊った菅井円加(佐々木三夏バレエアカデミー)。アシュトン版の振付で踊った。かなり難しくコンクールで観ることはほとんどない振り付けだが、最後まできっちりと魅力的に踊りきった。「先生がこれを踊ったらと言ってくださって選びました。最初から最後まで難しくて……、練習するなかでやっぱり基礎が大切なんだということを実感しました。今、高校1年生なのですが、将来は海外のバレエ団に入りたいと思っています」。

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男性ジュニア1部(14歳〜18歳)1位は、『ラ・シルフィード』よりヴァリエーションを踊った石川龍之介(白鳥バレエ学園)。アントルシャの足先がよく伸びて、軽快に弾む感じがとても良い、気持ちまで弾んでいるような踊り。「今、高校3年生です。これまでにスカラシップでアメリカとモナコのサマースクールで学ぶ機会があったのですが、高校を卒業したら、できれば外国、ヨーロッパに行ってバレエをやりたいと思っています」。

女性シニア(19歳〜30歳)1位は、『ライモンダ』よりヴァリエーションを踊った松本真由美(山本小糸バレエスクール)。2年前には日本バレエ協会関西支部のバレエ芸術劇場で『白鳥の湖』のオデットを踊るなど、既に主要な公演でも活躍しているダンサー。スローで基礎が重視される前半から曲調が変わっての後半と踊りこなすのが難しいヴァリエーションを憂いを持って表現した。「ローザンヌ・コンクールを観て踊りたいなと思い、この曲を選びました。ヴァリエーション一曲からでもストーリーが見えるような踊りがしたいと思っています。これからですか? バレエの先生になることが小さな時からの夢でした。それが実現したので、今は、良いダンサーを育てることが目標です」。
男性シニア(19歳〜30歳)1位は、『ドン・キホーテ』よりバジルのヴァリエーションを踊った上月佑馬(萩ゆうこバレエスタジオ)。2年前にジュニア1部1位を獲得、現在、さまざまな舞台にゲストとして出演しているダンサーだ。ふわっと飛んでたくさん回る、伸びやかで基礎を大切にしたバジル。「得意不得意はつくりたくない、オールマイティに踊れるダンサーでありたいです。今、20歳、今後、海外のバレエ団に出てみたい。これから、いろいろとオーディションを受けたいと思っています」。

話を聞いた各部門のトップに輝いたダンサー達は、素晴らしい基礎を身につけ表現力も感じさせる逸材ばかり──この人たちが短いヴァリエーションだけでなく、酔わせてくれる全幕で魅了してくれる姿を楽しみに(シニアの受賞者には既にそれを叶え始めている人もいるが……)、良い踊りを観た高揚感を持って会場を後にした。
*詳細順位は、神戸新聞HPを参照 http://www.kobe-np.co.jp/info/youbu/2010/10final.htm
(2010年4月24日〜5月5日 神戸文化ホール 大ホール)

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撮影:岡村昌夫(テス大阪)/古都栄二(テス大阪)/田中 聡(テス大阪)
※画像をクリックすると、受賞者の名前と大きな写真をご覧いただけます。