ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2009.04.10]
From Osaka -大阪-

アルティ・アーティスト・プロジェクトの望月則彦 演出・振付の『じゅりえっと』

望月則彦 演出・振付『じゅりえっと』
A.A.P.(アルティ・アーティスト・プロジェクト)
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 京都府立府民ホールアルティにダンサーが集い活動するA.A.P.=アルティ・アーティスト・プロジェクト。第5回目を迎えた今回の演目は『じゅりえっと』。演出・振付は、A.A.P.ブヨウ部門芸術監督の望月則彦。
 もう何度も『ロミオとジュリエット』を作品にしたことがあるという望月は、今回、とてもシンプルに舞台を仕上げた。全体を通して1時間20分ほどで物語に沿って進みながらも抽象的だった。ジュリエット、ロミオ以外には、パリス(桑田充)、キャピュレット公と夫人(松原博司と荒川佳代)、乳母(茨木万由里)、両家の人々としての群舞、運命を現す人形遣い(河邊こずえ)のみが登場人物。薬をジュリエットに与えるのも神父ではなく人形遣いなのだ。さまざまに観客が想いを巡らせる余地を与えたつくりに思えた。
 

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 ジュリエットは28日昼夜と1日の3回とも変わるトリプルキャストで、宮澤由紀子、福谷葉子、中西貴子、ロミオはダブルキャストで28日昼夜が福岡雄大、1日がクードリャ・アンドレイ。私は宮澤由紀子、福岡雄大の28日昼を観た。福岡はさすがにそれぞれの場面でロミオの感情──時には複雑な感情が混じり合う様を観客に伝え、舞台が狭くみえる存在感も良い。宮澤もジュリエットの気持ちを素直に現し好演した。
 群舞が列になって両手を上にかかげる、棺桶を運ぶ野辺送りを思わせる動きや笛の音など “和” を感じさせる演出が織り込まれ興味深い。またラスト、2人が死んでしまってから、天で結ばれることが感じられるのがとても印象的、両家の和解を天で喜んでいるようだった。『ロミオとジュリエット』でこんなラストは初めて観た気がする。いつも悲しい気分で帰途につく悲劇、少し救われるラストに思えた。
(2009年2月28日昼 京都府立府民ホールアルティ)