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桜井 多佳子 text by Takako Sakurai 
[2009.03.10]
From Osaka -大阪-

セルゲイエフ版を継承した篠原聖一の『シンデレラ』、日本バレエ協会関西支部公演

篠原聖一演出・振付『シンデレラ』
バレエ芸術劇場
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 日本バレエ協会関西支部主催のバレエ芸術劇場で、前回『シンデレラ』が上演されたのは1991年1月。ソビエト崩壊直前のころ、レニングラードから、今では伝説となったロシアの名ダンサーで振付家のコンスタンチン・セルゲイエフと、その夫人で、やはり伝説の名プリマ、ナタリア・ドゥジンスカヤが、振付・指導のために来阪した。セルゲイエフは、作曲者プロコフィエフとともにバレエ『シンデレラ』を誕生させた振付家である。第二次世界大戦中、疎開先のペルミで構想を練った話を、来阪中、彼は熱く語っていた。(『シンデレラ』は1945年ボリショイ劇場で初演されたが、もともとは、キーロフ・バレエで発表するはずだった。結局、セルゲイエフ演出版は、その翌年にレニングラードで初演された。主役はドュジンスカヤ&セルゲイエフ夫妻)。
創作者ともいえるセルゲイエフとドゥジンスカヤから直接指導を受けた前回のシンデレラ役、田上世津子が、今回は橘照代とともにバレエミストレスをつとめた。演出・振付は篠原聖一のオリジナルではあるが、時折、セルゲイセフ版のシンデレラ像、王子像と重なるのは、そのためだったのかもしれない。もちろん、それは否定的な意味では全くない。

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篠原版は、セルゲイエフ版の展開に沿いながら、独自性を伺わせる。四季の精には、エスコート役の男性がそれぞれ従い、仙女の描き方は若々しく、時計の精の子供たちの動きも洒落ていた。
シンデレラ役は山下摩耶。みすぼらしい恰好で登場する第一幕では、基本に忠実な動きがシンデレラの生真面目さをそのまま表しているよう。小柄で愛らしい内藤夕紀、大人っぽい表現が出来る堀端三由季は、タイプの異なるキャラクターで、意地悪な姉妹を好演していた。冬の精を踊った安積瑠璃子は、柔軟な体の動きが美しく、生来の華も感じさせる。次代を担う注目すべき新人だ。
第二幕では、まず、道化役、恵谷彰が大活躍。軽やかな身のこなしとチャーミングな表情が、道化という役に現代性を与えていた。王子役は青木崇。ノーブルながら、「王子の椅子」を窮屈に感じる自由な青年を等身大で描いていた。第三幕は冒頭、若手男性陣の靴屋たちの踊りで一気に舞台を盛り上げ、スペイン、オリエントへと王子はガラスの靴を片手に旅をする。この辺りの理論的でスムーズな流れは、篠原ならではというべきだろう。
旅の最後に王子はついに、シンデレラを探し出す。幸福なラスト。シンデレラは、ドレスに身を包み王子に寄り添い、ドラマは終わる。絵本のように美しいラストシーン。しかし、再会した二人のパ・ド・ドゥがそこになかったのは、やや物足りなさを感じた。河崎聡指揮、関西フィルハーモニー演奏。
(2009年1月23日、大阪国際会議場メインホール)

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