ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2009.01.13]
From Osaka -大阪-

AAP(アルティ・アーティスト・プロジェクト)ブヨウ部門[文博公演]

 アルティ(京都府立府民ホール)を拠点に活動するAAP(アルティ・アーティスト・プロジェクト)の京都文化博物館での公演。京都文化博物館は、観光の折にも立ち寄りやすい烏丸御池近くにあるレトロモダンな建物、その別館ホールのフラットな場所で、3つの創作作品が上演された。  一つ目は、河邊こずえ振付の『獏の食卓』。夢を食べるという “獏” を “女” としての、眠る男と女を描いた寝室の物語。村田周平、宮澤由紀子2人の動きは鍛えられたものであることが感じられた。最後、女は大きなお腹を抱えて・・・これでは、タイトルを見ない観客にとっては、男と女の当たり前の結末に見えてしまうのではないかと気になった。せっかく “獏” というキーワードを思いついたのだから、もう少しラストにひねったものがあれば、格段に変わったような気がする。  次には、左近幸子振付、チャイコフスキー『白鳥の湖』の音楽を使っての『みにくいアヒルの子』。白鳥を意識においての『みにくいアヒルの子』というのは、有名な漫画の世界でもあったと思い、素直に興味をひかれた。母:奥田明香、父、松原博司のもとに生まれた子供たち、江藤秋奈、蟹江彩、そして、“ みにくい” ちょっと違った存在、梶田久美子。梶田がラストに見せたふっきれたようなシンプルな美しさは印象的だった。  3つ目は、河合美智子振付の『MASS』。リルケの詩がプログラムに書かれている、制作のインスピレーションを得たものだろう。“神” に対する想いを綴った作品で、この文化博物館が持つ洋館の雰囲気も活かしていた。安部淳子、茨木万由里、田中裕子、福谷葉子、宮澤由紀子、吉田ルリ子の6人のダンサーが、それぞれ踊るなか、ゲスト俳優の中田達幸が女たちの言葉を代弁するように「私があなたに出会ったのは・・・」と語る。“あなた”とは、“ 神” のことなのだろう。言葉は踊りにとって、時には邪魔になるものだが、こういった詩的な使い方では、良い効果を生むことがあるように私は感じる。“神” への愛おしさに溢れるようにやさしく終わるこの作品も、おだやかに心にしみ入った。
(2008年12月9日 京都府京都文化博物館 別館ホール)