ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2011.09.12]
From Nagoya -名古屋-

鮮烈だった石井潤の『カルミナ・ブラーナ』、松岡伶子バレエ団アトリエ公演

振付:石井潤『カルミナ・ブラーナ』ほか
松岡伶子バレエ団
nagoya1109a01.jpg 『カルミナ・ブラーナ』撮影/むらはし和明

松岡伶子バレエ団のアトリエ公演は、小学校低学年から団員までの、それぞれのレベルで選ばれた人たちが踊る公演だそうだ。第一部は生徒たちによるクラシック・バレエ、第二部は団員を中心としたコンテンポラリー・ダンスという構成。

まず第1部、幕開けは『パキータ』よりマズルカで、行進する姿がロシアのバレエ学校の低学年生徒を思わせるようで可愛らしい。続く松岡璃映振付の『エトワールへの道』は、シンプルなレオタード姿の生徒たちがレッスンの成果を見せるように踊る。基礎に忠実に正確に踊ろうとする姿が観ていてとてもすがすがしく、またクセがなくきちんとバレエの動きを学んでいることが分かる。この演目、そしてこれに続く『ゼンツァーノの花祭り』よりパ・ド・ドゥやオディールのバリエーションの曲や『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』のヴァリエーションの曲など、聞き慣れたチャコフスキーの曲を使って、以前、ナターリャ・ボリシャコーワがこのバレエ団に指導に来た折に振付けたというチャイコフスキーより『パ・ド・シス』、『海賊』より花園と順に上演されたそれぞれの作品を観て、その年齢年齢で、とても高いレベルの正確な技術と自然な表現力を身につけている踊り手が多々いることが分かり、この後ここからプロとして私たちを楽しませてくれるダンサーが何人も出てくる可能性があるような気がした。

nagoya1109a02.jpg 『カルミナ・ブラーナ』撮影/むらはし和明

第2部はメインの演目、石井潤振付の『カルミナ・ブラーナ』。『カルミナ・ブラーナ』というと、世界中でさまざまな振付家が作品を創っているが、少なくとも私がこれまでに観た『カルミナ・ブラーナ』のなかで、もっとも印象に残っているのはこの石井潤の『カルミナ・ブラーナ』だ。そしてそれはこれまで、運命の女神役の寺田美砂子の圧倒的な迫力と存在感とともに鮮明な印象を残していた。

今回の運命の女神役は寺田ではなく、松岡伶子バレエ団のプリマ伊藤優花、どんな作品に仕上がるのだろうと期待と不安の入り混じった思いで観はじめた。そして、観終わっての思いは「また違った魅力が生まれるんだ」という実感。クラシックのバレリーナとして、美しい身体のラインとピュアな雰囲気を持つ伊藤、そのピュアさを持ちながら、運命の女神として快楽主義的にも、コミカルにも、すべてを支配する存在にもなってゆく──表現力も高く良いダンサーだと感じた。清純と快楽主義は相反しない・・・そんな言葉が頭をよぎった。またこの石井の『カルミナ─』が、ベジャールの『ボレロ』などと同じように、踊るダンサーによって印象を大きく変えながらいつまでも踊り継がれていく可能性も感じた。

花びらを散らしながら踊る女性群舞をジュニアの年齢の少女たちが踊ったのが、初々しい爽やかな魅力に溢れていたし、「焙られた白鳥の歌」の場面で、中弥智博がパーティで食べられてしまう鳥の役を短いチュチュを身につけて、ちょっとコミカルに切ない表情を振りまきながら踊ったのもとても存在感があり印象に残った。
(2011年7月29日 中京大学文化市民会館プルニエホール)

nagoya1109a03.jpg 『カルミナ・ブラーナ』撮影/むらはし和明 nagoya1109a04.jpg 『カルミナ・ブラーナ』撮影/むらはし和明
nagoya1109a05.jpg 『カルミナ・ブラーナ』撮影/むらはし和明 nagoya1109a06.jpg 『カルミナ・ブラーナ』撮影/むらはし和明
nagoya1109a07.jpg 『カルミナ・ブラーナ』撮影/むらはし和明 nagoya1109a08.jpg 『カルミナ・ブラーナ』撮影/むらはし和明