ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2011.01.11]
From Nagoya -名古屋-

名古屋のコンテンポラリー・ダンスの四つのユニットの実験作

OMDAC/DANE JUKU シアター Series3
オクダモダンダンスクラスター

名古屋を代表する老舗の現代舞踊団、オクダモダンダンスクラスターの主催する「DANE JUKU シアター」が3回目の公演を行った。
主宰の倉知によるこの公演の趣旨は「作品のための「動き」は、コレオグラファーによって創造開発され、ダンサーによって作品化されます。その作品は唯一オリジナリティーの高いものになります(DANCE)この原点を見据えながら独自に「動き」を創造開発に取り組み(JUKU)、その作品を発表するスペースがこのシアターです」(チラシより)ということであった。
そのため、1シリーズについて2〜3回の公演を経て、作品を創作とワーク・イン・プログレス的な発表、公演後には意見交換を行い、さらに練り上げて発表するというスタイルをとっている。シリーズ3の1回目の公演では4つのユニットが作品を発表した。

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『ハリネズミのワルツ』はコマツアイが振付、三好友恵とコマツ出演によるデュオダンス。登場するやエプロンをつけカフェらしき店内のキッチンに立つコマツ、そこを訪れる旅人。
世間とは少し距離をおいた流浪の民として登場する2人が、常に微妙な距離感を保ちつつ、それぞれの空間を漂うダンスが心地よい。揺れ動くエネルギーの細波は波動のように2人の距離を近づけるかと思いきや、またそれぞれの世界に戻っていく。コマツ曰く、「普通と普通でない世界の狭間に住むというジプシーと、彼らの好むハリネズミ」をモティーフにすることで、異端児の微妙な心の襞を描き出そうとしているようだ。それぞれのキャラクターが明確に印象づけられるとさらによいと思う。

鈴村由紀の『・・・・・』は、これまでにない実験的なパフォーマンス。自身のベースとなるカポエラやストリートダンスから発展した幾何学的な動きを連ね、無機質に坦々と踊る鈴村。そこに客席やバックステージから数名のパフォーマーがひとりまたひとりと現れてはビニールテープを取り出し、床に幾何学的な線を引いていく。床面に拡大していくビニールの線は次第にパフォーマーの体にまで侵食し、やがては体も身動きのとれない状態に陥る。ミニマルな行為で、規制やシステムに縛られている現代のリアルさと息苦しさを表現する、鈴村の次なる展開を予感させる意欲的な作品だった。

福田晴美 & Daniel Europe × Kevin Kmetz(津軽三味線) & 広沢純子(acco.)の『一緒』では、ダンサーと音楽家それぞれ2人ずつの自立した計4人が、個人として舞台に存在する。冒頭にソロを踊る真っ赤なワンピースのダニエルのソロに、津軽三味線の演奏が加わり、またアコーデオンの演奏に作務衣姿の福田の足踏みの動きが重なる。一見無関係にみえる個々の人間が少しずつ接点を見出すことで、人間どおしのつながりを浮かび上がらせ、触れ合うことの意味を描き出そうとしているようだ。

西川長秀振付・出演の『若武者』は日本舞踊にヨハン・ハインリッヒ・シュメルツァの「フェンシング・スクール」の演奏が加わった作品。日本古来の極めてシンプルな物語をベースに、西欧のバロック音楽を用いる。未知のことに挑戦する姿勢には敬意を払いつつも、何故バロック音楽が必要なのか、その点への作品上での言及は感じられなかった。作品への必然性があってこそ説得力をもつ、次回にはその回答を期待したい。

また公演後にアフタートークが行われ、たくさんの質問や意見があった。それらの意見を参考にしつつも、自らの表現の発芽にこそ最大の関心を傾け、さらに作品を突き詰めていって欲しいと感じた。
(2010年12月19日  OMDACオクダモダンダンスクラスター)

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