ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 最新の記事

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 月別アーカイブ

唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2010.03.10]
From Nagoya -名古屋-

LEDを全身に纏って・・・充実した平山素子のダンス

平山素子:振付『After the lunar eclipse/月食のあと』
ダンス・アンソロジー 新作ソロダンス公演

約一ヶ月間で同時代のダンスを様々な角度から紹介している愛知芸術文化センターの企画<ダンス・アンソロジー>。そのなかででも、地元愛知出身の平山素子による新作はこれまでとは一線を画した新たな挑戦に充ちた作品である。
平山素子は、ここ数年芸術選奨文部科学大臣新人賞、朝日舞台芸術賞を連続して受賞するなど、今最も勢いにのっている舞踊家のひとりであるが、何と言ってもここ地元愛知でその姿を印象づけたのは、1999年に開催された「第3回バレエ&モダンダンスコンクール」における金賞、ニジンスキー賞のダブル受賞である。決して大きくない平山の身体が、愛知芸術文化センター大ホールの大きな空間を圧倒的なパワーで支配し、大いに会場を沸かせてから10年。実はソロでの本格的な作品創作は初めてのことであるという。

日本におけるライトアートの草分け的存在の逢坂卓郎と、人気衣裳デザイナーのスズキタカユキとのコラボレーションともいえる作品だが、逢坂氏は宇宙線の信号をLEDの光に変換する“宇宙線シリーズ”から、「青い大気圏」というインスタレーションを舞台中央に配置した。
LEDがほのかに点滅をはじめると、平山は上手奥から舞台を斜めに横切りながら少しずつ歩みを進める。その姿は、自身の肉体に挑む戦士のようだ。本人も「私は美しき身体の揺らぎの視覚的残像、観客のかけがえのない記憶として浸透していく現象を舞踊のダイナミムズムだと感じています」と述べているように、彼女の動きの輪郭が、残像のように目に焼きついて離れない。落合の硬質な音楽がインスタレーションの神秘性をさらに強く印象づけている。
この作品は、十分に時間をかけた前半の空間の変容と肉体の拮抗、またLEDを全身に纏って佇む静的な後半部が、流麗なダンスの堪能できる中盤と鮮やかな対比をなしている。そこではダンサーとしても最も充実した時期を迎えている平山のダンスが十分に堪能できる一方で、作品全体はダンスの動きそのものより、肉体の内面へと向かう彼女の眼差しが眩しかった。
(愛知県芸術劇場小ホール 2009年12月19、20日)

nagoya1003a01.jpg nagoya1003a02.jpg nagoya1003a03.jpg
nagoya1003a04.jpg nagoya1003a05.jpg

ダンス・アンソロジー 新作ソロダンス公演
平山素子:振付『After the lunar eclipse/月食のあと』
構成・振付・ダンス:平山素子 ライトアート:逢坂卓郎 
衣裳:スズキタカユキ  音楽:落合敏行

撮影:南部辰雄
※画像をクリックすると、大きな写真をご覧いただけます。