2000年にニュ-ヨークで、ラリッサ&ゲナディ・サヴェリエフによって創設された、〈ユース・アメリカ・グランプリ〉=略称〈YAGP〉。世界中でバレエを学ぶ才能ある子供たちに、世界の一流バレエ学校で奨学金を得て学ぶチャンスを与えることを第一の目的にしたコンクールで、ローザンヌ国際コンクールと並び、プロ・ダンサーへの登竜門となっている。 次の2009年4月のニュ-ヨーク決選が記念すべき第10回大会、その出場権を得るための日本予選が、10月31日~11月3日 尼崎アルカイックホール、オクトホールで行われた。予選は、日本の他にメキシコやブラジル、イタリア、アメリカ国内でも行われており、バレエの奨学金コンクールとしてはとても規模の大きなものといえる。 今回、来日して審査にあたったのは、以下の9名。世界の主要バレエ学校の校長や教師たちだ。 ジェイソン・ビーチー(パルッカ・シューレ・ドレスデン 校長)、メイヴィス・ステインズ(カナダ・ナショナル・バレエスクール 主席教師)、フランコ・デ・ヴィータ(ABTジャクリーン・ケネディ・オナシス・スクール校長)、タデウス・マタチ(シュツットガルト・バレエ ジョンクランコ・スクール校長)、ジョン.ミーハン(香港バレエ 芸術監督)、シェリー.パワーズ(ヒューストン・バレエ・ベン・スティーブンソン・アカデミー校長)、リー・ラウルス(オーストラリアン・バレエスクール ヘッド・オブ・ジュニアスクール)、ゲイリーン・ストック(英国ロイヤル・バレエスクール 校長)、ラリッサ・サヴェリエフ(YAGP創設者/ディレクター) このコンクール、審査員たちは、舞台でのヴァリエーション審査をするだけでなく、レッスン形式でのスカラシップ・オーディション、また、交代で連日、オクトホールでのワークショップも指導する。参加者には、(日本予選の)決選に進めなかったとしても、4日間世界のバレエ教師から学ぶ機会が与えられているのだ。 加えて、主催者や教師たちの、バレエを学ぶ子供たちへの応援の気持ちが表れているのだろう──期間通して、ピリッとした厳しさと緊張感のなかにも、あたたかい視線が感じられるのが印象的、コンクール会場は全体にとてもアットホームな雰囲気が漂う。 表彰式もまたあたたかい。参加者全員が所狭しと舞台に並んだ状態から始まり、1列ずつおじぎして客席に向かい、席に着いたところで発表が始まる。 プリコンペティティブ部門(9~11歳)、ジュニア部門(12~14歳)と発表が進み、シニア部門(15~19歳)。女性一位は、ガムザッティのヴァリエーションを踊った小笠原由紀。優しい透明感のある彼女、清純なお姫様なども踊りこなせそうに見えた。男性一位は、バジルのヴァリエーションを踊った高田樹。伸びやかなテクニックをさわやかで優しい雰囲気を持ってこなして魅力的。同じシニア部門の佐川裕香には特別賞の芸術賞(Sponsored by Dance Europe Magazine)が贈られた。彼女の踊ったライモンダのヴァリエーション、アンディオールを意識したとても丁寧な踊りで、テンポが変わって速くなってからは軽さも心地よく、芸術賞ということに大きくうなずけるものだった。 順位やニュ-ヨーク決選出場者(各部門12位まで)発表の後には、スカラシップの発表。予選でありながらも60は優に越えるスカラシップが出ていた。これは、出す学校の先生が読み上げる──ロイヤル・バレエスクールならならロイヤルの校長が読むーーという形で、もらった参加者にとっては、きっと嬉しさと実感が増すことだろう。サマースクールなど短期のスカラシップが数としては多かったが、一年のスカラシップやシニアの部には、まだ日本予選でありながら、早くもドレスデン歌劇場バレエからの契約のオファーまでが出ていた。その発表には会場全員が拍手。 近い将来、ここから翔いたダンサーたちの踊りに深く感動する日がきっとくるのだろうとしみじみ感じた。 各部門一位及び、特別賞(芸術賞) 1.プリコンペティティブ部門(9~11歳) 第一位 根岸茉矢〈フロリナ王女のヴァリエーション〉 2.ジュニア部門(12~14歳) 女子第一位 乙戸沙織〈ダイアナのヴァリエーション〉 3.ジュニア部門(12~14歳) 男子第一位 藤島光太〈サタネラのヴァリエーション〉 4.シニア部門(15~19歳) 女子第一位 小笠原由紀〈ガムザッティのヴァリエーション〉 5.シニア部門(15~19歳) 男子第一位 高田樹〈バジルのヴァリエーション〉 6.特別賞 芸術賞(Sponsored by Dance Europe Magazine) 佐川裕香〈ライモンダのヴァリエーション〉 *結果、詳細は下記、YAGPのホームページに記載されている。 http://www.yagp.org/japan/2009.html (2008年10月31日~11月3日 尼崎アルカイックホール、オクトホール) |