ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2008.11.10]
From Osaka -大阪-

岡本バレエ団公演『ジゼル』全幕ほか

 今から56年前、昭和27年に西野バレエ団によって関西で初めて上演された『ジゼル』全幕、そこでアルブレヒトを踊ったのが岡本博雄だった。その岡本が芸術監督として率いるバレエ団の『ジゼル』。

 幕開き、全幕にさきだっては、バレエ・コンサートとして、『嘆きのエスメラルダ』や『せむしの子馬』よりフレスコなど、普段観る機会の少ない演目が上演され、それも興味深かった。
 そして『ジゼル』。橋口真貴のジゼルは、にじみでるような優しさや素直さ、柔らかさを感じさせ、ロイス(アルブレヒト)のアンドレイ・クードリャとともに、自然に物語に引き込んでくれた。狂乱の場面では、刻々と変化する表情のなかの狂気に何度もゾクッとし、2幕では楚々として強く、神々しい美しさも見えて、人間性がにじみ出た素晴らしいジゼルだと感じた。

 ソリストもよいダンサーが多く、なかでも特にペザントのパ・ド・シス(上杉真由、前田奈美甫、林田まりや、中弥智博、弓場亮太、奥村康祐)は、フレッシュなダンサーたちの高レベルの踊りで楽しめた。全体に基礎に忠実で、コール・ド・バレエのすみずみまで大切に作られているのもいい。『ジゼル』を長年、愛着を持ち続けている岡本博雄のもとで、ダンサーそれぞれがこの物語を深く考えて丁寧に踊っていることが感じられる良い舞台だった。
(2008年9月27日 新大阪メルパルクホール)