ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2008.11.10]
From Nagoya -名古屋-

ダンスイベント「農民一揆」VOL.2

 20代の振付家によるショーケース型ダンスイベント「農民一揆」の第2回目には、東海地方を拠点に活動中の意欲的な4団体が集まった。ダンスのジャンルを問わず、ストリートやジャズをベースにした作品が見られた第一回目とは異なり、今回はすべてがコンテンポラリー作品。しかも、地元カンパニーはすべて男性によるユニットということで、この公演を企画している男性だけのカンパニー、アフターイマージュを先導に、若い男性たちの間にコンテンポラリー・ダンスが浸透し、新しいダンスの波が広がっていることを感じることのできた公演だった。

 まずアフターイマージュのメンバーによるユニットafterimage-cのソロ作品『satisfaction』(振付:服部哲郎)。ダンサーの松竹亭ごみ箱が、突然倒れたクローゼットから現れるという衝撃的な幕開け。ワンルームマンションの住人らしい松竹亭は、ビールを飲んだり、洋服を着替えたり、まさに日常の等身大の自分を演じているかのよう。そこに突如としてダンスが介入し、日常のなかにあるダンシーな時空間をクローズアップして見せる。様々なモノと対峙し、モノとのデュオを行うたびに、それに相応しい衣裳に着替えるなど、実験的な場面を取り入れていることも、こういったショーケースならではの試みだろう。                            
 
 カンパニー明の『空覚』は、三重大学ダンス部の辻本佳の振付。大学以外での活動は初めてという今回の公演では、同じダンス部の大仲裕大と共に男性デュオを創作した。顔に包帯を巻きつけて観客席に向かって立つ異形なる様相のふたりの男。床にも包帯と思われる白い布が南北東西に象徴的に敷かれている。突然ブレイクダンス的な動きが痙攣的な動きへと発展。ダンサー同士が互いに目隠しされたまま相手の身体に飛び掛り、戯れる。ちょっと不気味な男性デュオは、辻本の独自の感性に触れられた作品だった。

 SuSaの『keep up with you』も男性によるデュオ。糸川亘、野坂悠矢の共同振付・出演。それぞれが白と黒の衣裳を見につけ、交互にソロ、デュオを繰り返す。全体構成の中で日常的なマイムから唐突にジャズダンス風の動きに変化する場面が多く、なぜそこでいきなり踊りだすのか、少なからずの違和感を覚えた。ふたりとも魅力的な身体の持ち主なのだから、もっともっと自分の身体と対峙してみて欲しい。

『失恋特急に飛び乗って』は、岩瀬泰司の自作自演によるソロ。パジャマ姿で舞台に急ぎ飛び出した岩瀬は、舞台上を特急電車に見たてる。特急列車らしく、時間にせきたてられるように右往左往と忙しく踊りながら走り回るが、身体はいたって自然体で、力の抜け具合が心地よい。さらに動かない時間の介在によって、作品のスピード感がもっと生かせるのではないかと思う。

 最後は、東京からのゲスト、キリコラージュによる『キリコロール』。自ら「切ってコラージュしたダンス」と話しているように、コマ撮り映像がポップな感覚で張り合わせられているような印象の軽妙かつ現代的な作品だ。無関係な場面が一様に並んでいるようにも感じられるが、ストウキミコ、外山晴菜の強い身体性に裏打ちされて、どの場面もかなりの求心力をもって見せてしまう。CMや映像での振付、演技などの経験も多く、静と動のバランスなどもきちっと計算されている。次回はもっとテーマ性の強い作品を見てみたいと感じた。
(2008年10月18日昼 愛知県芸術劇場大リハーサル室)