ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2008.10.10]
From Osaka -大阪-

オリジナル作品『飛べない鳥』ほか、ISバレエ・アカデミア・リサイタル

 泉ポール&下森瑞夫妻が主宰するISバレエ・アカデミアのリサイタル。特に印象に残ったのは後半の2演目、『パキータ』と『飛べない鳥』だった。
『パキータ』、安定した基礎を感じさせるよく揃ったコール・ド・バレエの美しさがまず良い。エトワールは大久保春香、貞松正一郎をパートナーに優しく品のある踊りを観せてくれた。コーダのフェッテ・アン・トゥールナン、久しぶりに正しく美しい形のフェッテを観たような気がする。最近、ダブルやトリプルを入れたりさまざまなアレンジでテクニックを見せるダンサーも多いが、彼女はシングルで余計なことは一切せずにごまかすところなくまわり、観ていてとても気持ちが良かった。

 最後に上演された『飛べない鳥』は、主宰の下森瑞が物語の創作から、演出・振付までを手がけた作品。そのオリジナルのお話を絵本にしたものが用意されていたのも楽しい驚きだった。

 画家を夢見る女の子リー(大久保彩香)は、大好きな友達の引っ越しがきっかけで全く絵が描けなくなってしまう。「鳥は飛べなくなったら、しんでしまうのかなぁ」と、飛べない鳥の絵を描いて画家への夢はあきらめようと思ったところで眠ってしまい夢を見る。その夢には、幼い頃からのさまざまな思い出がそれぞれの色とともに現れて、目覚めた時には──。“悲しいのは飛べないことではなく、いつもすぐ近くにある幸せに気づかないこと”、“ずっと抱いている夢をあきらめないで”、“つらい時も負けないで”といった優しく前向きなメッセージが込められたお話がアントニオ・ヴィヴァルディの音楽に乗せたバレエとして振り付けられ、いろいろな妖精などに扮した子供たちやお姉さん達が踊って、心あたたまる舞台に仕上げていた。この舞台のために創られた心のこもったお話で踊ることのできる子供たちはとても幸せだなと思いながら観た。
(2008年8月27日 兵庫県立芸術文化センター大ホール)