ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2008.06.10]
From Osaka -大阪-

姫路城を望む野外舞台が圧巻ー白鷺城フェスティバル in PEACE

 法隆寺とともに日本で初めての世界遺産に登録されて15年を経た姫路城。今年4月18日~5月11日、周辺では「姫路菓子博2008」が盛大に行われ賑わいを見せた。そんなGWまっ只中の4月29日、会場入り口のすぐ横、三の丸広場では、「白鷺城フェスティバル in PEACE」と名付けられた舞踊イベントが開催され、こちらも多くの人で賑わった。
 晴天に恵まれたこの日、姫路城を望む広場に並べて設置された能舞台と素舞台。バックにはお堀や石垣ーーそれに緑のグラデーションが美しい木々、こんな風景を望みながら舞を楽しむというのは、とても贅沢な気分で、「昔のお殿様も、こうして春にはここに能舞台など建てしつらえて楽しんだのではないかしら」という気さえした。

 午前中の注目は、日本舞踊『鷺娘』の競演。清元や長唄義太夫による4組が、別名・白鷺城とも呼ばれる城前で順に踊った。
 午後は、ジャンルを問わずに参加者を募ったダンス・コンペティション。日本舞踊あり、体育大学の創作ダンス部あり、モダンやコンテンポラリーはもちろん、宝塚歌劇のようなシアターダンスまで。そのなかで見事「しらさぎ大賞」に選ばれたのは、花柳美輝風の『鷺』、きちんとしたスタイルを持った踊りで音と戯れる感じも、場面による脱力感も自然、伝わる空気にメリハリがあった。「しらさぎ優秀賞」には、4人の踊り手による、まさこ舞踊研究所の『白鷺を舞う』、シアターダンス的な千城恵ダンスアカデミーの『源氏ゆめものがたり』。また、審査員特別賞に選ばれたダンス コア ポッシブルの『愛を求めて~冬の狼』をはじめとして、コンテンポラリー系で興味深いものもいくつかあった。

『アベ・マリア』『Pregnant Study #4』

 コンペティションの後には、ゲストのダンス。ウクライナのキエフ・バレエ学校生徒、オリガ・ベロソホヴァの『アベ・マリア』は、コンペティションの審査員も行ったキエフ・バレエ学校教師のゾーヤ・ドルギーフの振付。緑を背景に薄い衣装、トゥ・シューズでの舞は、妖精そのもののようだった。もうひとつ、アメリカのエリス・ウッドによるモダンダンスは、女性としての妊娠の喜びを爆発させたような踊りで、明るい気持ちにさせてくれた。



『鷺』『白鷺を舞う』

 最後には、日本舞踊とオペラ、和楽器、朗読のコラボレーションでの『絶対寸(たゆらぎ)物語』。万葉集に歌われた歌をもとにした姫路が舞台の物語。都へ帰ってしまった恋人を想い、歌を詠む少女たゆらぎ、800年後、その恋人との再会の喜びに白鷺になって天井に登ってゆき姫山の地を守り続けようと約束するーーたゆらぎ役の尾上福寿の清純な雰囲気がこの物語にぴったりで、オペラ、朗読も物語に引きこんでくれた。ずらっと並んだ琴は見ているだけでも壮観、さまざまな魅力が無理なくしっくりと融合した良い作品に仕上がっていたと思う。



『絶対寸物語』『絶対寸物語』

(4月29日 姫路城三の丸広場)