ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2008.03.10]
From Osaka -大阪-

ジャンルを超えたライヴ、大柴拓磨プロデュース『ARTRACTION』

高橋晃子
 『イワン雷帝』の短期契約でパリ・オペラ座の舞台に立ち、その後、ボルドー・オペラ座で3年踊り、一昨年帰国した大柴拓磨。彼は、ディアギレフ率いるバレエ・リュスがそうだったように、さまざまなジャンルのアーティストが集っての舞台を創り上げたいと、“Art Live”というプロデュース公演を立ち上げた。これまでに京都、東京で公演を行い、3回目の大阪のタイトルは、“Art”と“Attraction”を組み合わせた造語で『ARTRACTION』。

 画家、天野弓彦が舞台美術や宣伝美術を手掛け、ミュージシャン、blue hat 、1.G.K 、 UKinEK 、 風香 、Ayumi Kato 、 前田憲芳 、TORCERSEらが音楽を、そして各ジャンルのダンサーや役者が集い舞台を創り上げた。
 開場してしばらくすると、ロビーでパフォーマンスが始まる。壁をバー代わりに、バーレッスンを始める大柴拓磨、白いフワッとした衣裳にGジャン姿でトゥ・シューズ爪先立ちで美しく移動する高橋晃子、パントマイムで子供に大人気の窪木亨・・・などなど。

 やがて場が舞台と客席に移り始まった作品は、こんなにもさまざまな個性が集いながら、ひとつのストーリーが流れ、醸し出す空気に一体感がある。大柴が持っているのは小さな水晶だろうかーーその玉がキーポイント。さりげない笑いや、日常のささやかな淋しさなど微妙な気持ちをそれぞれの出演者が表現する中、この玉が他の人との関係を作ってゆく。ラストには玉が崩れバラバラになり、そこにステンドグラス越しのライトが反射してとても美しい。もう、そんな“きっかけ”の玉がなくても集える・・ということだろうか?全体に、照明(魚森理恵)のセンスが良く工夫が凝らされていたのも良かった。

 やはりチャーミングで存在感のある大柴、スレンダーでカッコよく美しいバレリーナ高橋、野性的な魅力のKATSU、時にコミカルで役者魂いっぱいの窪木、セリフも動きも繊細で自然な表現の朝平陽子、キュートという言葉がぴったりのダンサー夏美、そして今回一際印象に残った金刺わたるは、動きが柔らかく伸び盛りであることを強く感じさせるコンテンポラリーダンサー。
 公演を重ねる度に、成長していくだろう前向きな若さが伝わり、とても心地よかった。
(1月25日~27日 BLACK CHAMBER *27日昼公演を鑑賞)

大柴拓磨、夏美夏美大柴拓磨、天野弓彦
  金刺わたる、大柴拓磨