ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2008.02.11]
From Osaka -大阪-

日本とウクライナの若きアーティストたち

「瀕死の白鳥」
 旧ソ連時代から約40年もの長きに渡って、ウクライナのキエフ・バレエ学校と交流を続けている京都の寺田バレエ・アート・スクール。今年は、その交流を始めた故寺田博保、現代表の高尾美智子の子息、寺田宜弘が11歳でキエフ・バレエ学校に留学してから、ちょうど20年の節目になる。彼はバレエ学校卒業後キエフ・バレエに入団、ソリストとして活躍しており、彼がバレエ団に入った頃からは、バレエ学校のみならず、バレエ団との交流も増えているようだ。一昨年には、NPO法人子供の城バレエシアターを設立、今回はその2回目の本格的な公演になる。
 実は寺田宜弘、10月の終わりにケガをして、キエフの日本ツアーに出演予定だったのが、叶わなくなった。全治二ヶ月と言われたケガがなんとかギリギリ治っての今回の舞台で踊った。エレーナ・フィリピエワをはじめ、日本ツアーが終わったキエフ・バレエのスターたちも出演しての華やかなコンサートとなった。

 まず、幕が開くと『クラス・レッスン』。プロ・ダンサーから生徒までが出演し、バーレッスンから見せていく。後半では稽古着姿で、フィリピエワとゲスト男性たちでローズ・アダージオを見せた。
 2部&3部は名曲集。コンスタンチン・パジャルニッキーと共に『ゼンツァーノの花祭り』よりグラン・パ・ドゥ・ドゥを踊った吉川英絵は知的な魅力、『眠れる森の美女』よりフロリナ王女と青い鳥のグラン・パ・ドゥ・ドゥの東出麻生は踊る喜びいっぱいの笑顔がチャーミング、エフゲニー・クリメンコの足の甲の美しさはさすが。『パリの炎』よりグラン・パ・ドゥ・ドゥは、土屋弥咲とアンドレイ・ピーサレフ。純粋で可愛らしい雰囲気の土屋、アンドレイは、アチュチュードでものすごく速く多く回転するなど、自由自在とでも言いたくなるテクニカルな技を多々楽しませてくれた。『マルキタンカ』よりパ・ド・シスの岩崎純子は柔らかい優しげな魅力だった。『白鳥の湖』より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥは特に盛り上がった。キエフ・バレエ公演でも王子を踊ったセルゲイ・ソドロフスキーをパートナーに、長身を活かして堂々とオディールを踊ったのは石川直実、今後の活躍に期待したいダンサーといえる。

 寺田宜弘がこの日のために振付けた『It is well with my Soul』は、ブルーのライトの中で寺田が1人、憂いを感じさせつつ踊るところから、ケガを感じさせない伸びやかな動き、客席へのアピールはやはりプロとして舞台数を重ねているからだろう。彼の醸し出す雰囲気は、数年前よりもすっきりと爽やかによくなってきた気がする。踊りの後半は女の子達とショーダンスのように楽しく。
 ウクライナの民族舞踊が2つ上演されたのも興味深い。『ウクライナポルカ』は、3カップルの恋愛模様がコミカルに描かれとても楽しい作品、太田那豊美、吉川英絵、青山愛、寺田宜弘、セルゲイ・シドロフスキー、コンスタンチン・パジャルニッキーの6人が役者魂たっぷりに。『ゴパック』では、アンドレイとエフゲニーが、大技たっぷりに盛り上げた。
 ラストはエレーナ・フィリピエワの『瀕死の白鳥』、京響市民合唱団のコーラス付きだ。さすがにひきこまれるもののある美しい踊り、人生経験と歳を重ね、こういった演目にさらに深みを加えられる良い時なのだろう。
(12月27日 京都会館第2ホール)

「クラスレッスン」「ウクライナポルカ」「パリの炎」より
「It is well with my Soul」「マルキタンカ」「黒鳥」
「ゴパック」「瀕死の白鳥」「瀕死の白鳥」