ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2008.02.11]
From Nagoya -名古屋-

松岡伶子バレエ団公演『くるみ割り人形』全二幕

 12月の風物詩として人気の定着している『くるみ割り人形』公演。松岡伶子バレエと佐々智恵子バレエ団が隔年で開催しているCBC文化セミナースペシャルもすでに25回目となった。今年の松岡伶子バレエ団の公演は、ダブルキャストで、私は初日を見ることができたが、ベテラン・大岩千恵子と若手・碓氷悠太の共演が見所の舞台であった。(26日は、松原帆里と窪田弘樹)

 神田すずなが演じる少女クララが登場。可愛らしいだけではなく、基本に支えられた正確なテクニックは、すでに数千名の生徒をもつ松岡バレエ団の中でも期待を担うバレリーナの卵といった風格。フリッツも少年が演じていて見ごたえがある。クリスマスを祝うパーティに現れたクララの叔父のドロッセルマイヤー(大寺資二)が、子どもたちに様々な人形をプレゼント。ハーレキン人形の市橋万樹の高い跳躍に息を呑んだ後、コロンビーヌ人形の佐々部佳代がシェネやフェッテといった回転技を連続披露。そしてドロッセルマイヤーからクララにはくるみ割り人形(鈴木花奈)が渡される。パーティが終わり、皆が寝静まったところで、ねずみの大群が現れ、ねずみとくるみ割り人形の戦いが繰り広げられる。第1幕には、ねずみたちやクララの友人など、沢山の子どもたちが出演する松岡バレエ版のくるみ。どの出演者も、バレエ団の配役オーディションを掻い潜った少女たちということで、子どもであっても幼さを感じさせず、きっちりと揃っていて清々しい。さらに松岡の演出は、誰にもわかりやすく、整然とした群舞の使い方がつとに魅力的で、観客へのアピール力も十分だ。


 二場では、くるみ割り人形は、碓氷悠太演じる王子に変身して大岩千恵子と一緒に登場。ベテランの大岩が、可憐な少女のような初々しさを称えて舞台中央から客席に軽やかなステップで踏み出すと、ダンスノーブルという言葉にぴったりの容姿の碓氷がエスコート。パ・ド・ドゥでは、大岩の安定感のあるテクニックに裏付けられた流麗な踊りが素晴らしかった。パートナーを務めた碓氷は、パ・ド・ドゥでは若干危なっかしい場面もみられたが、すでに「カルメン」にて新国立劇場でのデビューが決定しているという大型新人らしく、バリエーションでは高いテクニックで観客を魅了、堂々とした振る舞いで最後まで踊りきった。

 またドロッセルマイヤーの大寺資二、雪の女王の伊藤優花が舞台全体を通じて注目された。大寺のドロッセルマイヤーは、その存在感と演技力で観客の注目を一身。また伊藤は前回の「くるみ割り人形」での主役デビュー、昨年の秋の「バヤデール」などで主役を踊った経験を通して、プロのバレリーナとしての風格が滲み出てきたような艶やかな踊りを見せた。
 第2幕では、スペインの大脇衣里子とワジム・ドゥレパ、アラビアの安井美沙子と4人のソリスト、中国の小島沙耶香と市橋万樹、花のワルツの安藤有紀など、主役級のダンサーを適材適所に配して、次々と楽しい場面が繰り広げられていく。
 ラストのグラン・パ・ド・ドゥでも、容姿端麗でカップルとしてもお似合いの大岩千恵子と碓氷悠太が、華やかで伸びやかな踊りを見せて、多くの観客を惹きつけた。
(2007年12月25日 中京大学文化市民会館オーロラホール)