ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2007.12.10]
From Nagoya -名古屋-

愛知芸術文化センター開館15周年記念イベント
『愛知と青春の旅立ち~コンドルズと祝おう~』

 愛知芸術文化センターは15歳になった。1992年秋、専門的なホール群と美術館、図書館を併せ持つ大規模な複合文化施設として、日本初の3面舞台を持つオペラ・バレエ劇場として、そして本格的な自主企画事業の機能を持つ公立文化施設として全国の話題となったことを思い出す。筆者はプロデューサーの立場で今回の記念公演に関わったため、制作の立場から今回の公演についてレポートしようと思う。

 芸文センターの誕生祝いに相応しく、『愛知と青春の旅立ち~コンドルズと祝おう~』は、大ホールにて開催された。ダンス・生演奏・コント・映像・人形劇などが入り混じった観客参加型公演である。この記念のステージをリードしたのは、近藤良平率いるダンス・カンパニー「コンドルズ」だ。コンドルズは、開館10周年記念事業で愛知に初登場して以来、2005年の愛知万博にも登場し、多くの愛知県民と一緒に楽しい舞台を創り上げてきた。
 多くの参加者が顔を合わせ、何もなかったところから作品が生み出されていく過程は、ひとつのコミュニティが生まれ育つ過程でもある。こうした参加型作品を公演まで持っていくには、通常の公演に比べ、時間も手間も経費も格段にかかる。芸術性を実現しながら、同時に、その地域でなければ生まれ得ないオリジナルの作品を創造し、全国に発信することこそ、公立文化施設の社会的役割だろう。舞台にテレビにと多方面にわたる破天荒なパフォーマンスで大人気の近藤良平が、毎回、芸文センターの住民参加型プロジェクトに時間を割いてくれるのも、彼自身がこうした企画意図に共感してくれているからこそなのだと思う。

 


 今回は、2004年の愛知万博プレイベントから参加している子供たち「コンドルズ・ユースAICHI」の2年ぶり3度目の登場に加え、地元のダンサー「めんどルズ」やミュージシャン「THE PONDORS」、そして、コンドルズのバンドプロジェクトである「THE CONDORS」も新たに加わり、さらに広がりのあるイベントとなった。THE CONDORSがコンドルズの舞台で演奏するのは初めてということで、コンドルズにとっても新しい試みのひとつとなった。
 様々なバックグラウンドをもつ地元のダンサーチーム、めんどルズの24名は、10回ものワークショップを経て、コンドルズの近藤良平、山本光二郎、藤田善宏とダンスシーンを創作。ジャンルも年齢も異なるTHE PONDORSの15名のミュージシャンたちもまた、音楽監督・石渕聡のリードで4曲のオリジナル曲を創り上げた。

 最後のリハーサルで、近藤は、無音だったダンスシーンに、アコーディオンやヴァイオリンの即興ソロを挿入したり、THE PONDORSが作曲した音楽にダンスシーンを合わせたりして、パーツパーツのジグゾーパズルをみるみるうちに組み合わせ、魅力溢れる23の場面を完成させた。
 そこには、NHKで大人気の「サラリーマンneo」のサラリーマン体操の子どもバージョンや、観客全員で踊る千人のパフォーマンス版「こんどうさんちのたいそう」といったテレビでお馴染みの場面の舞台版もあって、大いに盛り上がった。しかも、フィナーレで、ボーカルの勝山康晴から、ちょうど公演と同時進行中の試合で決まった中日ドラゴンズの日本シリーズ優勝が舞台上で報告された時の盛り上がりといったら・・・・・。
 さらにエンディングでは、センターの職員やサポートスタッフ(ボランティア)も舞台に上がり、アーティスト、観客、スタッフが一体となった前代未聞のパフォーマンスで、そこにいるすべての人々が、愛知芸術文化センターの15歳の新しい旅立ちを祝ってくれたのだ。
(愛知県芸術劇場大ホール 2007年11月1日)