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桜井 多佳子 text by Takako Sakurai 
[2007.09.10]
From Osaka -大阪-

佐々木美智子バレエ団第10回記念公演『白鳥の湖』

 演出・振付は、篠原聖一。オデット/オディールは下村由理恵、王子はもちろん佐々木大。定評ある二人のパートナーシップは、ただ安定しているのではない。互いに信頼しているゆえに、二人は演技に浸ることができるのだろう。だから舞台での感情が率直に表れる。安心感漂うパートナーシップが、いつも新鮮で、ときにスリリングに見えるのはそのためだ。

『白鳥の湖』第2幕『白鳥の湖』第3幕
『白鳥の湖』第3幕『白鳥の湖』第4幕
『白鳥の湖』第4幕

 今回、下村のオデット姫は、自分の「悲しい運命」を受け入れているように見えた。王子に身の上を語るときも、彼からの愛を感じても、「運命から逃れられない」ことを悟っているかのよう。と同時に、年若く、まだ「愛」について畏怖を感じている王子(そのあたりは、佐々木が第一幕でていねいに表現)をリードするようなそぶりも見せる。新たな解釈というような大層なものではなく、おそらく、下村と佐々木の現在の関係性が自然に現れたのではないだろうか。とても興味深く思えた。
 その関係性は、オディール&王子となると逆転する。パートナーとしての佐々木は、下村に大きな安心感を抱かせるのだろう、彼女は大胆に動く。オディールに魅了されていく王子だが、踊りの上でのリーダーは佐々木だ。ドラマが作り出せるペアの演技が満喫できた。道化の秋定信哉もいま、もっとも魅力を発揮しているダンサー。テクニックの確かさはもちろんのこと、適度に甘く、ときにセクシーな雰囲気を醸しながら、観客を舞台に引き込んでいく。ヴォルフガングと式典長を演じた小原孝司は舞台に品格を加えた。ドイツで活躍する坂口友美が演じた王妃も美しかった。
 第3幕では、チャルダッシュの二杉圭子&福岡雄大、ナポリの二宮昌子、スペインの佐々木美織らがそれぞれ個性を発揮。杉原小麻里が踊ったルースカヤ(篠原が杉原のために振付けたオリジナル)は、艶やかななかに愛らしさものぞかせていた。
 

(8月11日、八尾プリズムホール)