ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 最新の記事

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 月別アーカイブ

唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2007.09.10]
From Nagoya -名古屋-

第24回フレッシュバレリーナフェスティバル

 越智インターナショナルバレエが、新人育成を目的として毎年開催している「フレッシュバレリーナフェスティバル」も24回目となった。
 今年の公演のメインは、なんといっても、ジョージ・バランシンの振付による『アポロ』の上演である。『アポロ』は、振付著作権管理が厳しい作品ということから、世界でも観ることができる機会が限られているだけに、バランシン・トラストよりジョージ・イリス・ボルン女史を招いての愛知県での上演は画期的であった。
ストラヴィンスキー(台本・音楽)とバランシン(振付)の初めての本格的な共同作業となった『アポロ』は、この2人が本格的な抽象主義的な作品を創造するきっかけともなった舞踊史的にも大変重要な作品である。
ギリシア神話に登場する4人の神々がその主人公。第1の場面はアポロの誕生。アポロを演じたサンフランシスコ・バレエ団のワディム・ソロマハの彫刻のような流麗かつ力強い肉体が、まさにギリシア神話の神そのものだ(越智友則のダブルキャスト)。そこに3人のミューズが登場。歌と踊りの神・テレプシコールはバレエ団のプリマ越智久美子、詩の女神カリオペはベテラン藤村香織、劇の女神ポリヒムニアは大型新人の木下友美が演じた。いずれも、バランシンの抽象的作品に不可欠だった、すらりとした肢体の持ち主の女神たちだ。

 第2の場面では、女神それぞれを象徴する書字版や仮面をもって踊る。ストラヴィンスキーの音楽の複雑なリズムを理解するのが大変だったというが、入念なリハーサルの成果は十分で、それぞれが音楽との良い関係を築いていたように思う。
また女神3人そろって手をとったアラベスクやパンシェでは、美しい幾何学的な彫刻を創り出した。アポロとテレプシコールのパ・ド・ドゥの場面では、互いに信頼を寄せ合う女神と神そのままに、ワディム・ソロマハと越智久美子が、幾何学的かつ抽象的だが、情感滲み出るダンスを踊り、1928年のバレエ・リュス後期の雰囲気を醸し出した。また、同時上演されたワレリー・コフトゥン振付による『時の踊り』(オペラ・ジョコンダより)では、小気味よいダンサーたちのステップがコフトゥンのバレエの世界を再現。ほかにも、『眠れる森の美女』よりワルツやバレエ団の新人バレリーナによるヴァリアシオンなどが上演された。
 

 越智久美子、ワディム・ソロマハ『アポロ』 
  越智久美子、ワディム・ソロマハ
 越智久美子、
越智友則、木下友美
『時の踊り』ジョコンダより
  越智久美子、ワディム・ソロマハ
(7月27日、名古屋市芸術創造センター)