ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 最新の記事

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 月別アーカイブ

唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2007.09.10]
From Nagoya -名古屋-

2007年川口節子バレエ団 定期公演プログラム

『オー!マイ リトル マエストロ』

 このバレエ団の公演は、ジュニアが出演するといっても侮れない。どんな小品でも、演出の才の際立つバレエ団主宰者の川口節子によるちょっとした工夫や味付けで、実に楽しい作品が誕生してしまっているからだ。
今年も、2日間に渡って、4公演が行われた。バレエコンサートでは、『海賊』ほかの5組のバリエーションや、バレエ団のプリマ桐村真里と高宮直秀よる『眠れる森の美女』第3幕よりグランパ・ド・ドゥが上演され、古典バレエの世界を披露。
続く、バレエ&創作小品集「森のシンフォニー」では、楽しい6つの創作作品が披露された。『ヒーロー』では、ジュニアの男の子4名が、ラグビーボールやサッカーボールをもって登場。バレエの基本テクニックとスポーツ的な運動を上手く組み合わせた振付を元気溌剌と踊る。カラフルなランニングシャツに短パン姿で、かっこよく決めポーズで踊る男の子たちの姿が微笑ましく、会場からも自然と手拍子が起こった。客席にいた男の子たちも、きっと「バレエって、カッコいいな」と、素直にそう思ったに違いない。『ルート』は川口の子女・太田一葉の振付作品。現在、ニューヨーク大学の舞踊コースで修行中の太田は、体のよく利く16名のダンサーを使って、次々とアンサンブルを展開し、様々な動きをテンポよく見せていくことに成功していた。母親譲りの振付の才能を垣間見せた作品だ。『オー!マイ リトル マエストロ』は、小さなバレリーナと、もっと小さな指揮者役の幼児による作品だ。美しくチュチュを着飾ったジュニアのバレリーナの前に、下手から燕尾服姿の小さな男の子が登場し、指揮をしようと観客席に背を向けて立つ。これだけでもインパクト十分。さらに音楽が始まると、指揮をしているかのごとく左右上下に、手を振り、頭を揺らしている姿が、とても可愛らしく、客席の笑いを誘う。こういった小品の中にも川口の発想の豊かさを感じることができる。
 第3部では、『眠れる森の美女』のプロローグを、バレエ団の団員が上演。リラの精・佐藤歩、優しさの精・長谷川愛実、元気の精・太田沙樹、おうようの精・河野茉衣、呑気の精・加藤亜弥、勇気の精・高木美月が好演した。
 

『ルート』  
『眠れる森の美女』
プロローグ第1幕


最後は、恒例の川口による創作バレエで、今年は『青い鳥』の再演となった。主役のチルチルとミチルは、共にバレエ歴10年を迎えた金子郁と平野有紗が演じ、その脇を鈴木和佳枝、水野陽刈、沼田眞由みなど、演技力のあるベテラン・ダンサーがサポート。
 メーテルリンク原作による幸せの青い鳥を探す物語を、現代に置き換え、病気の国、未来の国の青い子供、ぜいたくの国などに迷い込むことによって、あたりまえの日常の素晴らしさに気づくというストーリー。たくさんの出演者を上手く配して、一般の観客にも伝わりやすい工夫が満載の作品であった。
 

『青い鳥』
(2007年8月5日夜の部、名古屋市芸術創造センター)