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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2007.08.10]
From Osaka -大阪-

倉永美沙の6年ぶりの舞台、地主薫バレエ公演

『眠れる森の美女』
倉永美沙

 2001年にローザンヌ国際バレエコンクールでプロフェッショナル・スカラーシップ賞、同年モスクワ国際バレエコンクールで女性ジュニア部門日本人初のゴールドメダルを受賞し、サンフランシスコ・バレエ団、スクール・オブ・アメリカン・バレエでの研修を経て、ボストン・バレエで活躍する倉永美沙。昨年は、ジャクソン国際バレエコンクール女性シニア部門で日本人初のゴールドメダルを受賞し、ボストン・バレエ以外のさまざまなコンサートへのゲスト出演も多い忙しい毎日を送っている。地主薫バレエによる『Ballet Night with Misa Kuranaga』で、なんと6年ぶりに日本の舞台に立った。
 幕開けは『眠れる森の美女』よりローズアダージョ。倉永のオーロラは、華やかで軽く弾むよう。テクニックもさすがに正確。続いては奥村唯と中野吉章の『海賊』よりグラン・パ・ド・ドゥ。メドーラの大きな笑顔、アリのダイナミックさ、そして二人とも回転テクニックが鮮やか。続いての『シルビア』よりヴァリエーションは、素晴らしいスタイルでアントルシャもきれいな金子扶生。コミカルで表現も自然な安井遥子、石崎慎、佐藤航による『フェアリードール』よりパ・ド・ドゥ、群舞『春風のコンチェルト』などが順に踊られた。
 

『海賊』
奥村唯、中野吉章
『シルビア』
金子扶生
『フェアリードール』
安井遥子、石崎慎、佐藤航
『ロミオとジュリエット』
倉永美沙

 そして、1部のラストは、この日最も心に残った演目、倉永美沙と奥村康祐による『ロミオとジュリエット』よりパルコニーのパ・ド・ドゥ。日本人でロミオが似合う人はまだほとんどいないような気がするが、優しげで品のある奥村には確かにロミオが似合う。またジュリエットというとベテランプリマのしっとりした踊りを観ることが多くそれも良いのだが、倉永のは初めての恋に体が壊れそうなくらいにトキメイてロミオとの時間に喜びがあふれてあふれてどうしようもない---そんなジュリエット。ジュテの空中は、高く長く、それでいて余分な力がまったく感じられない伸びやかさ。とても素敵だった。
 2部は、地主薫がエドゥアール・ラローの曲に振付けた男性ばかり7人の群舞『Ensemble』と『パキータ』より。エトワールはもちろん倉永、パートナーは奥村だ。倉永は人の心を明るくするものを持っている。フェッテ・アントゥールナンは、ダブルやトリプルが勢いづいたように段々と増えていく、どう回るか決めているというよりは、その時の感覚で変化しそうな“踊り心”を感じる回転。それでも終演後に会った彼女は、『パキータ』に悔いが残った様子---もっともっと完成度の高い、そんな位置に彼女の思いはあるのだろう。次に彼女の踊りを観るのが更に楽しみになった。
 

『Ensemble』『パキータ』
(6月19日、NHK大阪ホール)