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唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2007.08.10]
From Nagoya -名古屋-

豊田シティバレエ団 夏季特別公演『白鳥の湖』

 豊田シティバレエ団は、草刈民代と逸見智彦をゲストに迎えて、『白鳥の湖』全幕を上演した。ウズベキスタン国立ボリショイ劇場と提携して両国で合同公演を行うほか、日本では珍しいバレエ学校を併設するなど、豊田シティバレエ団は常に精力的な活動を行ってきている。バレリーナの草刈民代も、芸術監督・諏訪等の情熱に心動かされたひとりなのだろう。ゲスト参加となる公演も、2001年『ジゼル』、04年『白鳥の湖』に続く3回目となった。

草刈にとっては、21歳の初演時から20年にわたって踊り続けてきた代表的なレパートリーとあって、白鳥の純粋さと黒鳥の妖艶さの演じわけは明瞭かつ繊細。王子への初恋の表情や、裏切りを知ってしまったときの愛惜など、その表現は微妙な角度まで研究しつくされているかのようだ。感情を物語る上半身の見せ方がひときわ上手い。長い肢体を鳥そのままに優雅になびかせ、トップバレリーナの存在感を見せつける。また典型的なバレエノーブルの逸見は安定した踊りを見せ、草刈とのパートナーシップは自然で、その所作も美しかった。

  豊田バレエ学校の卒業生や在校生による群舞は、多少のばらつきもあったものの、バレエに集中できる大変貴重なバレエ学校の好環境がもたらす、その成果を感じさせるものであった。充実したプログラムをもつバレエ団の今後のさらなる成果に期待したい。バレエ団のなかでも、海外から帰国したバレエ団のプリマ、三宅佑佳や嘉山裕子、さらなる海外留学が決定している工藤彩奈の成長が著しい。
第3幕の舞踏会の場面、様々な民族舞踊が披露されるが、なかでも切れ味鋭くかつ、全身をバネのようにしならせて踊る三宅のスペインの踊りは群を抜いていた。

 なお草刈は、来年の1月のレニングラード国立バレエとの共演で『白鳥の湖』全幕に幕を下ろすという。身体を酷使するバレリーナの寿命は長くはない。しかしだからこそ、命をかけて挑み続けるその闘いに、観客は心底胸をうつのだろう。闘い続けるバレリーナの魂の琴線に触れることができた熱き舞台であった。

 草刈民代、逸見智彦
(中京大学文化市民会館大ホール、2007年7月3日)