ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2006.09.10]
From Osaka -大阪-

世界に散らばって活躍する針山ファミリーが集って「夢 CONCERT2006」

 “ Ballet Beauty”と中央に書かれたチャコットの広告 ---白鳥のポーズが美しく印象的なモデルは針山愛美。現在、ウラジミール・マラーホフ率いるベルリン国立バレエ団で活躍する彼女は、芸術家一家の長女。大阪在住の父・憲夫はクラリネット奏者、母・和子はピアニスト、次女・祐美はNYのブロードウェイや劇団四季でのミュージカル出演経験を持つダンサー、三女・真実はNYでバレエ・ピアニスト、バレエ教師として活躍している。
 このコンサートは、「家族でコンサートを開きたい」と手作りで2001年に初めて開催、03年に2回目、そして3年ぶりの今回が3回目。通常の舞台は踊りが主だったり、音楽が主で踊りが添え物のような扱いだったりするものだが、このコンサートは音楽も踊りーーバレエ・ダンスも共に主役。舞台の後方半分に父母を中心とした守山俊吾氏指揮のオーケストラ、インターナショナル・ソロイスツやジャズバンドが並び、その前でバレエ・ダンスが行われる。合間の、父・憲夫によるトークも温かく、リラックスして楽しめる雰囲気が良い。
 ベルリン国立バレエ団の仲間やミュージカル・ダンサー、オペラ歌手など、家族のさまざまな友人たちも出演、共に舞台を盛り上げていた。

 特に印象に残っているのは『「ウエストサイドストーリー』&『ロミオとジュリエット」』より。この2つの物語は『ウエストサイドストーリー』の方が現代版の『ロミオとジュリエット』とよく言われるように、物語に重なり合うところが多いが、これをクラシックからショーダンスまで、音楽も違ったジャンルのものを上手く組み合わせてして仕上げていた。祐美のニューヨーク・テイストのダンス、真実のピアノ、そして愛美のバレエ『ロミオとジュリエット』のバルコニーシーンはとても清純で無垢な魅力。時空を飛び越えるような構成がとても面白かった。

 他にデュークエリントンの『A列車で行こう』では、祐美、真実が大人っぽく表情豊かにショーダンス。二人ともきちんとクラシックの基礎があり、観ていて気持ちの良い踊り。真実は後ろ向きにピアノを弾いたり、楽しい技も観せてくれた。
 愛美がピスラウ・デュデクと踊った『眠れる森の美女』よりグラン・パ・ド・ドゥは、華奢で可愛らしい雰囲気の上に知性も感じさせた。その愛美、『リアルタンゴ』では、コケティッシュな魅力が溢れる。
 それぞれがきちんと観客を楽しませることが出来るプロ、家族でこんなに温かいステージを作り上げることが出来るなんてとても素敵なこと。ヨーロッパやアメリカ、日本と離れて生活する5人だが、どんな家族よりも気持ちが通じ合っているような気がした。
(7月29日、30日 吹田・メイシアター大ホール、29日鑑賞)


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