ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2006.08.10]
From Osaka -大阪-

K★バレエスタジオ21th コンサート、神本昌幸追悼『Gebet』ほか

 1部~3部までをクラシック、4部にコンテンポラリーという構成で行われたK★バレエスタジオコンサート。現在、新国立劇場バレエ団のプリンシパルとして活躍中の山本隆之や、チューリッヒ・バレエで踊る福岡雄大、各種のコンクールで注目を浴びるジュニアたちが多数出演する充実した舞台だった。観ていると、特にレベルの高い男性ダンサーが多々、このスクールの出身だということをあらためて実感する。
 クラシックでは『白鳥の湖  Act1』よりパ・ド・カトルを黒瀬美紀、藤岡あや、上田尚弘、福田紘也の4人で。全員が高いテクニックを持ち楽しめるもので、男性のお行儀のよさ、女性の華やかさが印象に残った。コール・ド・バレエ付きの『パキータ』の主役は金子紗也と山本隆之。山本のノーブルでやさしげな微笑み、金子のダブルの方が多いくらいのフェッテ・アントゥールナン、楽しく気持ちよく観た。
 他にも、石川真理子の伸び伸びとチャーミングな魅力、福田圭吾の爽やかで演技力たっぷりな楽しさ、長い手足で一つひとつのポーズがため息が出るほどきれいな吉田千智、ヨーロッパに出て品の良さが大きく増したように思える福岡雄大など、良いダンサーたちの踊りが続いた。

 そして4部のコンテンポラリーは矢上恵子の新作。タイトルの『Gebet』は、ドイツ語の辞書によると<祈り>、<祈祷>、<祈りの言葉>といった意味。プログラムに「ーー神本君に捧ぐ」とある。このカンパニーの写真を撮り、素敵なデザインの印刷物を創り続けていたスタッフで、今年1月に 30歳という若さでこの世を去った神本昌幸への追悼の意を込めた作品なのだ。

 後方に、大きく縦と横の太いライン?・・・クルスを思う。悲しみを静かに、また矢上の振付特有の速くて迫力のある動き・・・、さまざまに場面が変わりながら、心臓の音のようなビートと共に、どうしようもない嘆きが強く伝わってくる。終盤近く、嘆きを現すソロを踊ったのは井上裕加里、大人の感情表現ができるダンサーだと感じた。

 ラスト、全員で踊る姿の中には笑顔さえ見える。<祈祷>・・・誤解を恐れずに言えば(もちろん、もっともっとカッコいいのだけれど)ふと“盆踊り”という言葉が頭をよぎった。死者の霊が年に一度戻ってくるのが、日本のお盆。その霊を迎える踊り・・・それと同じでこの『Gebet』でダンサーたちは、神本さんの霊を迎えて一緒に踊っているように見えた。(7月19日 大阪厚生年金会館)


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