ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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桜井多佳子 text by Takako Sakurai 
[2006.02.10]
From Osaka -大阪-

北山大西バレエ団・大西縁バレエスクール「発表会公演・リサイタル」

コンクールで上位入賞者を毎回のように輩出しているバレエ学校。ここの生徒たちの特長は回転力だ。幼い生徒でも、器用にくるくると恐るべきスピードで回る。また子供ながら、自己アピールもかなり強烈。だから「子供らしくない」、という批判もたしかにあるのだが、子供たち自身は回転を楽しんでいるよう。そしてある年齢に達すると、テクニックも表現力も自然に(年齢相応に)なってくる。それを実践してみせてくれているのが、的場涼香だ。

 小学生時代の彼女は、まるでぜんまい仕掛けの人形のように回って、とんで、笑っていた。それは可愛らしかったが、果たしてその表現を「バレエ」と呼んでいいのか? という疑問も投げかけていたのは事実だ。しかし現在、高校生になった彼女は、しっとりとした柔らかな表現も身につけている。今回は、『エスメラルダ』よりグラン・パ・ド・ドゥ、『白鳥の湖』より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥほかを踊ったが、子供のときに身につけた回転力はそのままに、上半身の美しさもアピールしていた。

 さて同バレエスクール校長、北山大介はミュージシャンでもあり、芝居の素養も持つ人。彼が書き下ろした大掛かりな創作作品が、今回の公演でも発表された。そのタイトルは、『須佐乃男』。須佐乃男の粗暴な振る舞いを姉=天照大神はとがめ、天岩戸に隠れてしまう。そのため須佐乃男は天上界を追放され、地上に降りてくる。そこで、その地を荒らしていたおろち(八岐大蛇)を退治して、人々を助ける・・・という神話通りのストーリー。声優たちがセリフを語るので物語はわかりやすく、須佐乃男のように自分の能力を人々のために生かすこと、あるいは自信をもって行動することなど、子供たちに伝えたい教訓が、そこには含まれている。

 須佐乃男の役は的場。宙乗りも披露しての大活躍だ。天照大神の寺村綸紗は堂々としていて、村長の娘、真野薫も役を心得ていた。おろちの頭、美羽礼加は、存在自体に迫力を感じさせた。なお、おろちの頭は、7人のおろちを従え、それぞれがリュウの頭部を手にもっている。これは優れたアイディアで、かぶりものよりシンボリックで踊りが生きた。黄世奈を中心とした酒の精の踊りも可愛らしかった。セリフ時のダンサーの動きがあまりにワンパターンであるなど、改善点はもちろんあるが、同バレエスクールならでは、いや同バレエスクールでないと実現できない出し物だといえるだろう。

 リサイタルのプログラムでは、『愛の風景』が力作だ。安ますみが感情をこめて歌うアベ・マリアにのせて、白い衣裳の子供たちがロウソクを手に舞台に上がる。それは演出としては面白いが、妙に宗教色を漂わせていたことに違和感を抱いた。率直に言って、うわべだけの宗教色は作品を冗長に感じさせる。『パ・キータ』は、美羽を中心に的場、寺村、真野らも出演(彼女たちは、この日一日で4、5作品に出演している)、その回転力に圧倒させられた。ここでの美羽は華やかで、今後の活躍が楽しみに思えた。
(1月15日、国際交流センター)


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