ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2005.12.10]
From Nagoya -名古屋-

●創立25周年記念公演~塚本洋子バレエ団~

 塚本洋子バレエ団の創立25周年を迎えた記念公演が、10月28,29日の両日開催され、古典からコンテンポラリーまでバラエティに富んだ全12作品が上演された。

 このバレエ団は創設してから数年で、現在Kバレエで活躍中の荒井祐子やアメリカで活動する榊原弘子など、国内外のコンクールで上位受賞者を出し、今や塚本氏は指導者賞を送られるほどの実績のあるバレエ団になった。このバレエ団で最近活躍中の若手ダンサーによるパ・ド・ドゥや、そして早くから積極的に取り組んできているコンテンポラリー作品の中から代表的なものを2日にわけて披露したが、その2日目を観た。
今回は、特別ゲストとして、若い頃から愛知でも何度か登場しているハーレム・ダンス・シアターのラスター・トーマスを招き、お祝いムードを盛り上げた。

「ドン・キホーテ」よりパ・ド・ドゥ


『EDEN』より「水」
古典のパ・ド・ドゥは4作品。ラスターと米沢のパ・ド・ドゥでは、両者とも少々緊張しているように見えたものの、互いに自分のヴァリエーションになると、水を得た魚さながら、ラスターは勢いよく空間に飛び出していき、相変わらず高いジャンプや回転に会場を沸かせた。米沢の10代とは思えない堂にいった演技もさらに磨きがかかっていた。
青木里英子とアンドレイ・クードリャによる『海賊』と、和田紗永子と大寺資二による『白鳥の湖』より「黒鳥」のパ・ド・ドゥでは、近年伸び盛りの若手バレリーナの踊りを披露した。

ベテランの山本美樹子は、古典から『ジゼル』と、コンテンポラリーの2演目を踊ったが、いずれも円熟したダンサーしか見せることのできない、しっとりと情感溢れる空間を創りだした。望月辰夫が振付した『EDEN』より「水」の場面は、体内の水や、涙、雨、舞台に置かれた水槽の水などをイメージしたソロであるが、初演から数年を経て、山本の艶やかな演技が一層際立った。

記憶に新しい第5回世界バレエ・モダンダンスコンクールのファイナルで米沢のコンテンポラリー作品を振付けたブラドゥミール・アンジェロフが、本公演のために準備した新作は、米沢をメインに塚本バレエ期待の新人7名による『LIGHT FORMS』。上手奥にスポット、そこに、米沢のすらりとした肢体か滑り込む。下手前で最初と同じポーズで終わるラストシーンまで、照明が形づくる様々な空間に、ダンサーたちが出たり入ったりしながら、光と追いかけこしているかのうように進んでいく。美しい弦の響き、複雑なシンコペーションを上手く踊りこなしたダンサーたちの若さが眩しい秀作である。

ラスター・トーマスによる『Moonlight』は、しっとりと安定感のある成長した踊りを見せたものの、ラスタらしい勢いのあるダンスが観たいと思っている間に終わってしまったのが残念だ。
 ラストを飾ったのは、深川秀夫振付による『ソワレ・ド・バレエ』。深川はこれまでも度々作品を提供してきているが、この作品も数年ぶりの再演。深川作品の魅力は、ダンサーたちの資質に委ねられているともいえるが、塚本バレエのダンサーたちはこれを体現することができる数少ないダンサーたちであろう。深川マジックに包まれた団員たちは、煌めく宇宙の世界でキラキラと輝いてみえた。
 25年間の同バレエ団の日本のバレエ界への挑戦の変遷とその着実な成果が全貌できた貴重な機会であったと思う。
(10月29日 愛知県芸術劇場大ホール)



「LIGHT FORMS」

「Moonlight」

「ソワレ・ドゥ・バレエ」
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