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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2005.11.10]
From Osaka -大阪-

●『ドン・キホーテ』を中心に、大阪バレエカンパニー安積由高追悼公演

 安積氏追悼公演によせて、許されるならひと言。私が初めてバレエ教室というものに足を踏み入れたのは、この安積先生率いる当時安積バレエ研究所(現大阪バレエカンパニー)だった。小学校高学年で、あまりにも運動神経が鈍い私を心配した母が、身体を動かすものの中でバレエだけには憧れているようなので、習わせてくれることになったのだ。そんな事情を聞いた故安積由高先生は、初めて来た私を抱きしめて歓迎してくださった。田舎の子で、親からも抱きしめられた経験がなかったので、子供心に「西洋の踊りをやっている人は、普段から西洋的なんだ」と、とても驚いたのを覚えている。そうして、この教室の多くの先生によって、私はバレエを少しづつ知るようになっていったのだった。


 さて、今回の追悼公演、第1部では安積由高氏が1960年代に創作・振付した作品が2つ上演された。最初の『抜け穴』は、苦悩する男とタイプの違う2人の女による踊りで、青木崇、堀端三由季、山下摩耶が踊った。3人共、安定して良く踊っていた。次の『カラー・ラプソディ』は、8人のダンサーが、それぞれの色のタイツ姿で、踊りそのものを観せるという感じの作品。2つ共、60年代という時代の雰囲気を感じさせるものだった。

 第2部は『ドン・キホーテ』全幕。キトリは山下摩耶、明るくチャーミングなキトリが彼女にはよくあっており、高いテクニックも生かされていてよかった。ただ、夢の場でドルシネアを踊る場面では、もう少し押さえたしっとりとした雰囲気が出せるともっとよかったように思う。バジルは青木崇、品もあって、すごく高いテクニックもあるスケールの大きなダンサー、全体にとても良かった。3幕のバジルのヴァリエーションは、ダイナミックでシャープで美しく、魅力を堪能させてくれた。

 他に特に印象に残ったのは、町の踊り子を踊った安積瑠璃子、スタイルも美しく、まだ若いのに色っぽい睨みも堂々と表情の変化もなかなか良い。色々なタイプの踊りがこなせるダンサーのようで、将来が楽しみ。また、キューピッドを踊った藤田美和子もチャーミングで技術も安定していて、目を引いた。良いダンサーたちが踊る中、若干気になったのは衣裳。原色のものが多く、可能ならもう少し押さえた色調を入れた方が舞台全体のグレード感が増すのではないかと思えた。

 幕が下りて、再びカーテンコールの幕が上がると、そこには大きなスクリーンに映し出された、カーテンコールに手を叩きながら舞台に現れる安積由高氏。生前の舞台ではいつもそうだった・・・と、その演出にしみじみと感慨深かった。
(10月16日、八尾プリズムホール)

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