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唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2005.04.10]
From Nagoya -名古屋-

●名古屋シティバレエ団による「第21回中部にバレエを育てる会」


 中部地域の新人バレリーナの育成を主眼とした「中部にバレエを育てる会」の21回目が開催された。今回の公演では、市川せつ子バレエ団、鳥居ゆき子バレエ団、越智インターナショナルバレエ、市岡つみきバレエ団、そして、浜松から森田友紀バレエ研究所が参加した。通年どおり、それぞれのバレエ団が小品を上演した後、メインプログラムでは、各バレエ団から参加を希望したダンサーたちによる作品、ワレリー・コフトン振付の『テーマとヴァリエーション』が上演された。

 市川せつ子バレエ団の『Somebody Loves Me』は、バレエ団の近江貞実の振付。昨年上演した『Beat Time』と同様に音楽をベースにダンサーの数を増減させたり、動きの順番に変化をつけていくなど数学的な実験を試みている。今回はピアノ曲を使用して、動きにも流麗さをもたせるように振付けられていたものの、バレエダンサーたちには慣れない動きが多く、やや動きに追われているような印象をもった。

 鳥居ゆき子バレエ団は『組曲』、越智インターナショナルバレエは、『海賊』より「奴隷たちの踊り」を上演。越智バレエのダンサーたちは、ギリシャの娘、アルジェリアの娘と、その妖麗さで、観客魅了した。
 市岡つみきバレエ団の『13』では、市岡欣樹がマリンバを使用した音楽で動きのズレなどを利用し、リズムに変化をもった創作作品を振付けた。

「テーマとヴァリエーション」


「Somebody Love Me」

「組曲」

「奴隷たちの踊り」

 今回はじめての参加となった浜松の森田友紀バレエ研究所は『ライモンダ』を上演。ライモンダはバレエ団のプリマ森田友理、パートナーは関西の法村友井バレエ団の法村圭緒がつとめ、甘いマスクの法村と気品のある友理のカップルは、大人の品格を感じさせた。

そしてメインプログラムの『テーマとヴァリエーション』。振付家のワレリー・コフトンが、この作品を創作したのが1995年。この2月に彼が突然の死を遂げて、遺作となってしまったこの作品に、中部のダンサーたちが一丸となって取り組んだ。

この作品は、チャイコフスキーの組曲第3番をベースにバランシンが創作した抽象バレエが大変有名であるが、コフトンの振付は、バランシンのバレエとは異なりながらも、音楽性を重視したコフトンらしく、音楽にのって絶え間なく続いていくパの流れが美しい作品に仕上がっていた。

 とりわけ、プリンシパルを演じた越智久美子と友則、各バレエ団の4名のソリストたちは、コフトンの創作意図を理解し、その音楽性を表現しようと試みていたようだ。中部のダンサーたちのコフトンへの想いがひとつになり、最後までひたむきに踊り続ける姿に胸が締めつけられる思いがした。



「13」

「ライモンダ」

「テーマとヴァリエーション」

(3月19日 名古屋市民会館中ホール)
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