ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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桜井 多佳子 text by Takako Sakurai 
[2004.09.10]
From Osaka -大阪-

日本とウクライナの若きアーティスト達 Ballet Gala 2004

 約30年前からウクライナと交流を続けている寺田バレエアートスクール(京都)の主催。ウクライナから多くのダンサーが来日し、華やかで楽しい公演となった(8月1日、宇治市文化センター、8月7日、京都会館)。

演出・振付は、寺田宜弘。寺田は、11歳からキエフ・バレエ学校に留学、キエフ・バレエ団に入団するとともに、キエフ舞踊アカデミー大学でも学び卒業。現在は、キエフ・バレエ団ソリストとして活躍中だ。昨年は、「ウクライナの芸術家」として、ウクライナ功労芸術家称号も授与されている。
さて、コンサートの第一部は、『クラス・レッスン』。50人以上の生徒たちが稽古風景を披露した。教師役はワジム・ピサレフ。ジャクソンやパリなど国際コンクールのメダリストで、「アナニアシヴィリと仲間」公演などで来日し人気を得た素晴らしいテクニックをもつダンサーだ。現在は、自身のバレエ学校(ピサレフ・バレエ・アカデミー)を持ち、ドネツク・バレエ団の芸術監督でもある。かなり体型にも貫禄がついたが、豊かな演技力と、踊りへの愛情は、「教師役」でもあふれ出ていた。

第2部は、『海賊』よりハイライト。幕開けに詩人バイロン(原作の詩劇「海賊」の作者)=ピサレフを登場させ、プティパ版の「奴隷市場」と「華やぎの園」のシーンを詩人の幻想のように見せている。「奴隷市場」では、ランデゲム=寺田とギュリナーラ=川崎亜香理が踊る奴隷のパ・ド・ドゥや、かの有名なコンラッド、アリ、メドーラのパ・ド・トロワ、さらにビルバンドがピストルを手に踊るダンスも盛り込んである。ビルバンド役のジェルリン・ウンドゥジーは、今年のペルミ国際コンクールの金賞受賞者。素晴らしいバネの持ち主だ。


第3部はバレエコンサート。キエフ・バレエ学校に留学中の木下嘉人は、『サタネラ』をていねいに踊り、ウンドゥジー(『ドン・キホーテ』からヴァリエーション)、エフゲニー・ラグノフ(『眠れる森の美女』から青い鳥のヴァリエーション)らピサレフ・バレエ・アカデミー出身者がテクニシャンぶりを発揮した。『パリの炎』のヴァリエーションを踊ったアンドレイ・ピサレフ(ピサレフジュニア)は、若き日の父そっくり。両親からバレエの手ほどきを受け、シュトットガルト・バレエ学校で学んだ。とてもチャーミングなダンサーなので、これからの活躍が大いに期待できる。アンドレイの母、ドロフェーエワは、美しい身体のラインを際立たせ、『瀕死の白鳥』を詩情豊かに踊った。

ラストは、男女あわせ約60名でのウクライナ民族舞踊。日本の女の子が身にまとう民俗衣裳やシューズも、[本物の]ウクライナ製。寺田はじめ、日本人の少年たちもウクライナダンス『ゴパック』を勇壮に踊った。競いあうようなそのダンスは熱を帯び、それは客席をも包み込む。見せ掛けだけではなく正真正銘の国際交流。日本とウクライナの芸術交流と友情を築き上げた功績をたたえて、聖スタニスラフ勲章がロシア正教会から寺田宜弘(2002年)と、母、高尾美智子(2003年)に贈られている。