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針山 真実 text by MAMI HARIYAMA 
[2013.10.10]

マーティンス版『白鳥の湖』、速い動きと見事なフォーメーションとキャラクター・ダンス

New York City Ballet ニュ−ヨーク・シティ・バレエ
"Swan Lake" Choreography by Peter Martins after Marius Petipa, Lev Ivanov, and George Balanchine
『白鳥の湖』ピーター・マーティンス振付、マリウス・プティパ、レフ・イワノフ、ジョージ・バランシン振付による

9月18日、ニューヨーク・シティ・バレエのピーター・マーティンス版『白鳥の湖』を見た。ニューヨーク・シティ・バレエでは1幕の宮殿シーンと2幕の湖のシーンを1つにして、3幕の黒鳥が出てくる宮殿シーンと4幕の白鳥たちが悲しむシーンを合わせて全2幕として上演している。
主役のオデットとオディールをアシュレイ・ボーダ―、ジークフリート王子をアンドリュー・ヴェイエットが踊った。
全体的に振付が細かく動きが速い上に難易度もとても高い。バランシンの作品は “目で見る音楽”、と言われ、振付が音楽の拍子、フレーズに1つ1つ合う、というが、このマーティンス版『白鳥の湖』の振付にもそれが反映されているように思った。毎日この公演をこなすダンサーたちの身体能力、体力は凄い。

1幕の宮殿のシーンで目立ったのがジェスター役を踊ったトロイ・シューマッカー、とてもエネルギッシュで高速回転から大きなジャンプ、といったテクニックを次々と見せてくれて彼にピッタリな役だ。
シーンが変わって湖のシーンではロングチュチュを着た白鳥たちが美しい。ここでもやはり良く見られるプティパ版『白鳥の湖』よりもステップが多く、これが出来るのは普段のバーレッスンから、ポワントシューズでトレーニングしているシティ・バレエだからだろうか、などと考えていた。中でも有名な小さな4羽の白鳥たちの踊りのスピードは、今まで見た中でも一番速かったかもしれない。しかし4人はしっかりと揃っていて見事だった。

ny1310b01.jpg Photo Credit: Paul Kolnik

印象的だったのは黒鳥が出てくる2幕の宮殿シーン。マズルカの踊りやチャルダッシュ、スペインの踊りといったキャラクター・ダンスが良かった。アメリカではあまりキャラクター・ダンスは得意としないカンパニーが多いと思っていたが、キャラクター・ダンスならではの見せ方やアクセント、スピード感がとても良かった。
そしてオディールがオデット姫に扮して踊る、見所のグラン・パ・ド・ドゥはプティパが振付けたオリジナルの振付けだった。アシュレイはオデットからオディールになって存在感がさらに増して魅力的、王子を誘惑するときの目つきや鋭い動き、白鳥を意識した柔らかい手の動きは印象に残った。また彼女の芯の強さは揺ぎ無い安定感があり、どんなに難しい動きも回転もバランスも常に安定していた。
王子がオディールに騙されて結婚を誓ってしまい、嘆き悲しむオデット姫と白鳥たちと、そして許しを請う王子が踊る最後のシーンは、群舞の白鳥たちとオデット姫が次々にフォーメーションを変え、舞台を駆け巡って舞う、これだけフォーメーションを使うと踊り手としてはたいへんだと思うのだが、それだけにとても美しく見応えがり、さらに照明の効果が加わって最後は大きな感動を誘った。