ペリダンスの40周年を記念して「レガシー・フェスティバル」を開催、イガール・ペリーが新作を上演した

ワールドレポート/ニューヨーク

ブルーシャ 西村 Text by BRUIXA NISHIMURA

Peridance "Legacy Festival" 40th Anniversary Celebration
Igal Perry

ペリダンス「レガシー・フェスティバル」40周年記念
イガール・ペリー:芸術監督

ペリダンスは40周年を記念して4月17日から24日まで、「レガシー・フェスティバル」を開催しました。
連日、ペリダンス・センター内のKnJ Theaterで6回の公演があり、最終日の4月24日夜はNYU Skirballの大ホールで公演がありました。

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イガール・ペリ © Hirose Aihawa

イガール・ペリーが新作を発表した他、オハッド・ナハリン(Ohad Naharin)、ロバート・バトル(Robert Battle)、ジェシカ・ラング(Jessica Lang)など著名な振付家の作品も上演されました。
ペリダンスはニューヨーク、マンハッタンのダウンタウンにある歴史的建造物を使ったダンス・スタジオで、地下から3階までビル全体をペリダンスが保有し、ビル内に小さな劇場もついています。ダンス・スクールと、ペリダンス・コンテンポラリー・ダンス・カンパニーがあり、イスラエル出身のイガール・ペリーが1983年に創立しました。イガール・ペリーは元ダンサーで、バレエ教師、振付家、芸術監督であり、経営者でもあります。コロナ禍の影響でロックダウンがあったため、ペリダンスも一時期は打撃を受けましたが、いち早くオンラインでクラスを配信して無事に経営を建て直して活動しています。
ペリダンス・センターではF1ビザプログラム(学生ビザ)があるので、長年に渡って日本人留学生も多く学んでいます。

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『レクイエム』(Requiem)© Liz Schneider-Cohen

私が観た公演は、ペリダンス・センター内のKnJ Theaterで行われた4月19日夜のプログラム1です。まだNYU Skirballの大ホールは入場にワクチン証明が必要でした。
プログラム1は、8作品が上演され、最初にイガール・ペリーが舞台上に出てきて挨拶をしました。
この日の演目には、ジェシカ・ラング振付『タッチ・オブ・ユア・ボイス』(Touch of Your Voice)、オハッド・ナハリン振付『デュエット・マブール』(Duet Mabul)、イガール・ペリーの新作『レクイエム』(Requiem)、『パロマ・トリステ』(Paloma Triste)、『ボレロ』(Bolero)もありました。他には、ストリートダンスやヒップホップ、暗黒舞踏を思い出すような前衛的な振付の演目もありました。出演者のダンサーは、ペリダンス・コンテンポラリー・ダンス・カンパニーのメンバーと、ペリダンス・センターのプログラムで学んでいる学生達もいました。
『レクイエム』は、男性2名が踊りました。モーツアルトの静かな歌曲に乗って、短い作品でした。リフトして上でグルグルと回すところもあり、ダンスの技術的な難易度は高かったです。
『パロマ・トリステ』は、男女2名のダンサーのパ・ド・ドゥ。これも難しい振付で、右回転、左回転と軸が入れ替わっていき、リフトで男性が女性を上に上げたままでグルグルととても速いスピードでブンブン回していたところはすごい迫力でした。大きな拍手を受けていました。

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『タッチ・オブ・ユア・ボイス』(Touch of Your Voice)
© Liz Schneider-Cohen

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『パロマ・トリステ』(Paloma Triste)© Steven Pisano

休憩をはさんで、最後の演目の『ボレロ』は、ラヴェルの音楽に乗って大勢が出演する圧巻の舞台でした。12名のダンサーがフィナーレのように盛り上がって踊りました。他のバレエの振付作品が有名な「ボレロ」の曲をあえて採用して新しく独自の振付と演出をしたイガール・ペリーの、今も盛んなチャレンジ精神を感じました。
照明が落とされた暗い空間で、大勢のダンサーがボレロの単調に続く曲のリズムに合った動きを淡々と続け、舞台上を次々に横切っていきます。ところどころ、ダンサーが座っている周りで他のダンサーが歩いて進んでいき、座っていたダンサーがまた立ち上がり歩き続け、向きを変えたり、舞台袖に去ったり、また現れたり、別のダンサーがまた座ったり、入れ替わり続けながら、ダンサー達は止まらずに一定のリズムを保ったままで動き続けていました。
やがて1人のダンサーが真ん中で同じ振付の動きを続け、さらに女性が2名出てきて、男性3名も加わって、6名で踊り続けていました。
何組もの男女2名のペアがパ・ド・ドゥを踊り、次々に踊りが重なり、ペアが入れ替わりました。やがて、3組の男女ペアが同時に踊り、曲調がだんだん盛り上がり激しくなるにつれて、ダンサー達が一斉に大勢舞台上に出てきて、男女6名ずつなどのグループで、振付も激しく強くなっていきました。
この最後の作品で、客席は一番盛り上がり、すごい拍手に包まれました。
(2023年4月19日夜 KnJ Theater)

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『ボレロ』(Bolero)© Liz Schneider-Cohen

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