《パリ・オペラ座バレエ シネマ フェスティバル》が開催され、8公演の舞台がスクリーンに甦る

ワールドレポート/東京

関口 紘一 Text by Koichi Sekiguchi

パリ・オペラ座バレエ団は、オーレリー・デュポンが辞任し、新たにジョゼ・マルティネスが舞踊監督に決まったばかり。新任監督は開催中の『うたかたの恋』公演に姿を見せ、ソリストたちそれぞれに声をかけていた、と伝えられる。ダンサーたちになかなか評判が良いそうだ。
また11月5日より、アーティゾン美術館では「パリ・オペラ座展」が開催されており、ドガやマネのオペラ座を描いた絵画、バレエ・リュスが公演を行った頃の資料や衣裳などが展示され、観覧者も多い。
パリ・オペラ座は新型コロナ禍の動向やスタッフたちのストライキ、人種問題など多くの問題を抱えながらも常に世界の注目を集めている。やはり、芸術文化のひとつの中心地と見做されているのだろう。

そして12月2日よりYEBISU GARDEN CINEMAでは、2009年の上演作にまで遡って、パリ・オペラ座バレエ シネマが一挙に上映される。『シンデレラ』を皮切りとして、全8公演の15演目(<バレエ・リュス>4演目、<ジェローム・ロビンズ・トリビュート>4演目)が、23年4月7日まで7回、各金曜日に次々とスクリーンに登場する《パリ・オペラ座バレエ シネマ フェスティバル》である。
ヌレエフ版の全幕は『シンデレラ』『白鳥の湖』『眠れる森の美女』が上映されるが、個人的にはミリアム・ウルド=ブラームのオーロラ姫とマティアス・エイマンのデジレ王子が印象に残る。また、クリスチャン・ラクロワの華やかな衣裳と美術に彩られたバランシンの『夏の夜の夢』では、エレオノラ・アバニャートのタイターニアとユーゴ・マルシャンのオベロンには思わず知れず感情移入していた記憶もある。エマニュエル・ティボーのパックも良かった。「バレエ・リュス」では、エイマンの薔薇の精、ニコラ・ル・リッシュの牧神、『三角帽子』ではマリ・アニエス・ジロとジョゼ・マルティネスももう1回ぜひ観たいと願う。近年上映されたものとしては、『ジェローム・ロビンズ・トリビュート』が良い舞台だった。パリ・オペラ座バレエ団のダンサーが踊るジェローム・ロビンズ作品は、また、ちょっと異なったニュアンスがあり、ロビンズ・バレエの舞台のもうひとつの魅力が感じられ、とても興味深かった。
歴代の3人の舞踊監督のもとで上演された舞台であり、もうすでにパリ・オペラ座の舞台から引退したダンサーも多いが、このカンパニーの伝統は舞台芸術に厳しい状況の中でも変わらずに継承されていることが実感できるフェスティバルとなるだろう。

【上映作品と日程詳細】

2022年12月2日(金)〜『シンデレラ』
2022年12月9日(金)〜『白鳥の湖』
2023年1月6日(金)〜『マノン』
2023年1月13日(金)〜『夏の夜の夢』
2023年3月24日(金)〜『眠れる森の美女』
2023年3月31日(金)〜『バレエ・リュス』
2023年4月7日(金)〜『プレイ』『ジェローム・ロビンズ・トリビュート』※2作品を交代で上映

【作品の概要】
『シンデレラ』パリ・オペラ座:バスティーユ(上演日:2018年12月)
振付:ルドルフ・ヌレエフ 原振付:シャルル・ペロー 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
出演:シンデレラ/ヴァランティーヌ・コラサント、映画スター/カール・パケット、姉妹/ドロテ・ジルベール、リュドミラ・パリエロ、継母/オーレリアン・ウエット、プロデューサー/アレッシオ・カルボーネ
予告編 https://youtu.be/cDeDzaswPZs

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「シンデレラ」© Yonathan Kellerman / OnP

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「シンデレラ」© Yonathan Kellerman / OnP

『白鳥の湖』パリ・オペラ座 バスティーユ(上演日:2016年12月)
振付:ルドルフ・ヌレエフ (マウルス・プティパ、レイ・イワノフ版に基づく)
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
出演:オデット&オディール/アマンディーヌ・アルビッソン、ジークフリート王子/マチュー・ガニオ、ロットバルト/フランソワ・アリュ、王妃/ステファニー・ロンベール

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「白鳥の湖」© Gerard Uferas / OnP

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「白鳥の湖」© Gerard Uferas / OnP

『マノン』パリ・オペラ座 ガルニエ宮(上演日:2015年 5月)
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
出演:マノン・レスコー/オーレリ・デュポン、デ・グリュー/ロベルト・ボッレ、レスコー/ステファン・ビュリョン、レスコーの愛人/アリス・ルナヴァン、ムッシューG.M./バンジャマン・ペッシュ、看守/カール・パケット

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「マノン」© Anne Deniau / OnP

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「マノン」© Anne Deniau / OnP

『夏の夜の夢』パリ・オペラ座 バスティーユ(上演日:2017年3月)
振付:ジョージ・バランシン
音楽:フェリックス・メンデルスゾーン
出演:タイターニア/エレオノラ・アバニャート、オベロン/ユーゴ・マルシャン、パック/エマニュエル・ティボー、ハーミア/レティシア・プジョル、ライサンダー/アレッシオ・カルボーネ、ヘレナ/ファニー・ゴルス、ディミトリウス/オドリック・ベザール、ヒッポリタ/アリス・ルナヴァン、テーセス/フロリアン・マニュネ、ボトム/フランチェスコ・ヴァンタッグロ、タイターニアの騎士/ステファン・ビュリヨン、パピヨン/ミュリエル・ズスペルギー 、ディヴェルティスマン/パク・セウン、カール・パケット

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「夏の夜の夢」© Agathe Poupeney / OnP

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「夏の夜の夢」© Agathe Poupeney / OnP

『眠れる森の美女』パリ・オペラ座 バスティーユ(上演日:2013年12月16日)
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
出演:オーロラ姫/ミリアム・ウルド=ブラーム、デジレ王子/マチアス・エイマン、カラボス/ステファニー・ロンベール、フロリナ姫/ヴァランティーヌ・コラサント、青い鳥/フランソワ・アリュ

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「眠れる森の美女」© Sebastien Mathe / OnP

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「眠れる森の美女」© Sebastien Mathe / OnP

『バレエ・リュス』パリ・オペラ座 ガルニエ宮(上演日:2009年12月)
「ばらの精」
振付:ミハイル・フォーキン
音楽:カール・マリア・フォン・ウェーバー
出演:ばらの精/マチアス・エイマン、少女/イザベル・シアラヴォラ
「牧神の午後」
振付:ワツラフ・ニジンスキー
音楽:クロード・ドビュッシー
出演:牧師/ニコラ・ル・リッシュ、ニンフ/エミリー・コゼット
「三角帽子」
振付:レオニード・マシーン
音楽:マヌエル・デ・ファリャ
出演:粉屋の女房/マリ・アニエス・ジロ、粉屋/ジョゼ・マルティネズ、コリヒドール/ファブリス・ブルジョア
「ペトルーシュカ」
振付:ミハイル・フォーキン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
出演:ペトルローシュカ/バンジャマン・ペッシュ、バレリーナ/クレールマリ・オスタ、ムーア人/ヤン・ブリダール、魔術師/ステファン・ファヴォラン

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「バレエ・リュス」© Sebastien Mathe / OnP

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「バレエ・リュス」© Sebastien Mathe / OnP

『プレイ』パリ・オペラ座 ガルニエ宮
パリ・オペラ座での上演日:2017年12月18日、19日
振付:アレクサンダー・エクマン
音楽:ミカエル・カールソン
出演:ステファン・ビュリョン、ミュリエル・ズスペルギー、ヴァンサン・シャイエ、フランソワ・アリュ
『プレイ』予告編 https://youtu.be/YM8rqKutASg

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「プレイ」© Ann Ray / OnP

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「プレイ」© Ann Ray / OnP

『ジェローム・ロビンズ・トリビュート』パリ・オペラ座 ガルニエ宮(上演日:2018年11月)
「ファンシー・フリー」(原題:Fancy Free)
音楽:レナード・バーンスタイン
振付:ジェローム・ロビンズ
出演:エレオノーラ・アバニャート/アリス・ルナヴァン/ステファン・ビュリオン
カール・パケット/フランソワ・アリュ/オーレリア・ベレ/アレクサンドル・カルニアト
「ダンス組曲」(原題:A Suite of Dances)
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ
振付:ジェローム・ロビンズ
チェロ:ソニア・ヴィーダー=アサートン
出演:マチアス・エイマン
「牧神の午後」(原題:Afternoon of a Faun)
音楽:クロード・ドビュッシー
振付:ジェローム・ロビンズ
出演:ニンフ:アマンディーヌ・アルビッソン(ニンフ役)/ユーゴ・マルシャン(牧神役)
「グラス・ピーシズ」(原題:Glass Pieces)
音楽:フィリップ・グラス
振付:ジェローム・ロビンズ
出演:セウン・パク/フロリアン・マニュネ

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「ジェローム・ロビンズ・トリビュート」© Sebastien Mathe / OnP

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「ジェローム・ロビンズ・トリビュート」© Sebastien Mathe / OnP

鑑賞料:一般3,300円/学生・障害者2,500円
販売方法:劇ご鑑賞日の2日前から販売開始。
※オンラインチケット0:00より(劇場HP)。劇場窓口オープン時間より。

劇場HP https://www.unitedcinemas.jp/ygc/
イベント情報URL
https://www.culture-ville.jp/parisoperaballetcinema

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