パリ・オペラ座バレエ シネマは『シンデレラ』『プレイ』『ジェローム・ロビンズ・トリビュート』を12月24日より上映

ワールドレポート/その他

関口 紘一 Text by Koichi Sekiguchi

今年は、クリスマス・イブの12月24日から「パリ・オペラ座バレエ シネマ 2022」の上映が始まる。登場するのは3作品で2017年末から2018年に収録された『シンデレラ』『プレイ』『ジェローム・ロビンズ・トリビュート』。パリ・オペラ座バレエ団らしい洗練された舞台を大スクリーンで楽しむことができる。

『シンデレラ』ルドルフ・ヌレエフ:振付

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まず、最初に登場するのは2018年にオペラ・バスティーユで収録されたルドルフ・ヌレエフ版『シンデレラ』。シンデレラに扮するのはヴァランティーヌ・コラサント(エトワール)、映画スター役はカール・パケット(エトワール)。この公演はカール・パケットのパリ・オペラ座のアデュー公演でもあった。https://www.chacott-jp.com/news/worldreport/paris/detail011321.html ちなみにパケットの日本での引退公演は、2019年に京都バレエ団の『ジゼル』の舞台だった。https://www.chacott-jp.com/news/worldreport/osaka/detail013644.html
プロデューサー役にはアレッシオ・カルポーネ(プルミエール・ダンスール)、そしてシンデレラの姉妹役はドロテ・ジルベールとリュドミラ・パリエロのエトワール2人が踊る、という豪華なキャスティングだ。
ヌレエフ版『シンデレラ』は、1986年にオペラ・ガルニエで初演され、シンデレラ役はシルヴィ・ギエム、ヌレエフ自身がプロデューサー役を演じている。
"シンデレラ・ストーリー" をチャップリンやクラーク・ゲーブル、アスティアなどが躍動した、1930年代のハリウッド黄金時代を舞台にして描く、というかなり大胆な試みは、スタッフの提案をヌレエフが慎重に吟味して実現したという。カボチャの馬車ではなく豪華なスーパーカーにシンデレラが乗り、巨大な映画のセットを背景に映画スターとの恋が繰り広げられる・・・初演時は突飛な(ちょっと通俗という意見もあった)発想と思われたものだが、アダプテーションがうまくいっていたこともあり、30年以上に渡って再演を重ねるヒット作となっている。華やかな衣裳は森英恵が担当した。

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『シンデレラ』Photo © Yonathan Kellerman/OnP

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『シンデレラ』Photo © Yonathan Kellerman/OnP

振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
シンデレラ/ヴァランティーヌ・コラサント、映画スター/カール・パケット、姉妹/ドロテ・ジルベール、リュドミラ・パリエロ、継母/オーレリアン・ウエット、プロデューサー/アレッシオ・カルボーネ

『プレイ』アレクサンダー・エクマン振付

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アレクサンダー・エクマンは、2017年、シャンゼリゼ歌劇場に登場。600リットルの水を張った舞台でダンサーたちはスイミングキャップをかぶって演じる、という『白鳥の湖』(1幕)https://www.chacott-jp.com/news/worldreport/paris/detail000013.html を上演し、パリのダンス・ファンに衝撃を与えた。この破天荒な『白鳥の湖』の評判は、たちまち拡散して公演は完売になったという。『プレイ』は、パリ・オペラ座バレエの舞踊監督オーレリー・デュポンの依頼を受け、エクマンがパリ・オペラ座バレエ団のために振付け、2017年12月に世界初演されたもの。https://www.chacott-jp.com/news/worldreport/paris/detail000034.html
「遊びやせんとや生まれけむ」とは『梁塵秘抄』に収められた今様の1節だが、エクマンはパリ・オペラ座バレエ団の世界で最も洗練されていると言われるダンサーたちに、あらゆる「遊び」のイメージ展開して踊らせた。
舞台の床から壁面、天井、さらには多数の白い立方体を吊るし、真っ白な空間を作り、ボール、リボン、トランポリンなどの遊びをくり広げたり、天井から6万個のプラスティックボール舞台に流し込んだり、照明、装置、演技、ダンスなどを総動員して、圧倒的なスペクタクルを創出した作品、『プレイ』はそんな舞台。
「現代人にはもっと遊びが必要」という認識が、『プレイ』に込められたメッセージだそうだ。
アレクサンダー・エクマンは、スウェーデン王立バレエ、NDT2、クルベリ・バレエなどでダンサーとして踊り、2006年頃から振付を始め、『白鳥の湖』『Cacti』などの作品で知られるようになった。

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『プレイ』Photo © Ann Ray / OnP

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『プレイ』Photo © Ann Ray / OnP

振付:アレクサンダー・エクマン
音楽:ミカエル・カールソン
ステファン・ビュリョン、ミュリエル・ズスペルギー、ヴァンサン・シャイエ、フランソワ・アリュ
カリスタ・"キャリー"・デイ(ゴスペル・シンガー)
アデライーデ・ファリエール(ドラムス)

「ジェローム・ロビンズ・トリビュート」ジェローム・ロビンズ:振付

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『ファンシー・フリー』(バーンスタイン曲、1944年)『ダンス組曲』(バーンスタイン曲、1980年)『牧神の午後』(ドビュッシー曲、1953年)『グラス・ピーシーズ』(グラス曲、1983年)と、ロビンズの生涯にわたる作品の中から選ばれた比較的著名な小品集を、パリ・オペラ座バレエのダンサーたちが踊った2018年のオペラ・ガルニエ公演の映像。https://www.chacott-jp.com/news/worldreport/paris/detail010462.html この公演はロビンズの生誕100年と没後20年にちなんで開催されている。
ロビンズはロシアからのユダヤ系移民の子として生まれた。姉がモダンダンスを習っているのに影響を受けてダンスを始めた。アクターズスタジオの第1期生として演劇を学び、俳優としても舞台に立っている。『ファンシー・フリー』をきっかけにブロードウェイのミュージカルでも成功を収めたが、一時は「赤狩り」の深刻な影響を受けている。その後、ニューヨーク・シティ・バレエの振付家としてディレクターとして活躍。『ウエストサイド物語』の振付家として世界中に知られる。ここでとりあげている4作品からも、その生涯の影響が微妙に感じ取られるかもしれない。

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『ジェローム・ロビンズ』Photo © Sébastien Mathé / OnP

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『ジェローム・ロビンズ』Photo © Sébastien Mathé / OnP

振付:ジェローム・ロビンズ
指揮:ワレリー・オブシャニコフ 演奏:パリ・オペラ座管弦楽団
『ファンシー・フリー』
音楽:レナード・バーンスタイン
エレオノーラ・アバニャート、アリス・ルナヴァン、ステファン・ビュリオン、カール・パケット
フランソワ・アリュ、オーレリア・ベレ、アレクサンドル・カルニアト
『ダンス組曲』
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ 振付:ジェローム・ロビンズ
チェロ:ソニア・ヴィーダー=アサートン
マチアス・エイマン
『牧神の午後』
音楽:クロード・ドビュッシー 振付:ジェローム・ロビンズ
装置:ジャン・ローゼンタール 衣裳:イレーヌ・シャラフ
照明:ジェニファー・ティプトン
ニンフ/アマンディーヌ・アルビッソン、牧神/ユーゴ・マルシャン
「グラス・ピーシズ」
音楽:フィリップ・グラス 振付:ジェローム・ロビンズ
セウン・パク、フロリアン・マニュネ

パリ・オペラ座バレエ シネマ
https://www.culture-ville.jp/parisoperaballetcinema

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