3月10日からTOHOシネマズ日本橋ほかで１週間限定上映されるマシュー・ボーン の『くるみ割り人形』の公開を記念して、チャコット代官山本店でインスタライブが行われた。マシュー・ボーン率いるニュー・アドベンチャーズに所属し、同カンパニーの凱旋公演『眠れる森の美女』で日本人初となる主役のオーロラ姫や2011年版『くるみ割り人形』など数々の作品に出演したダンサーの鎌田真梨をゲストに迎えて、『くるみ割り人形』の作品の見どころやカンパニーでの様々な経験について舞踊評論家の森菜穂美と編集者・ライターの冨永明子が話を聞いた。

鎌田は16歳でイギリスにバレエ留学し、そこで初めてコンテンポラリー・ダンスに触れた。その後、オーディションを受けてニュー・アドベンチャーズのメンバーに入団した。マシュー・ボーンの作品に登場するダンサーたちについて鎌田は「バレエ畑の人間だったので、細くないといけないという意識がありましたが、ひょろひょろしているタイプは好まれず、ダンサーたちは筋肉質で体幹がしっかりしていますね。彼らはちょっとふくよかな体型であっても、キャラクターに合ってしっかり踊れます」と説明した。

2幕のお菓子の国で登場するキャラクターについて鎌田に解説してもらった。「スペインの踊りは、リコリス（スペインカンゾウ：甘草の一種）を用いたキャンディで、イギリスではおなじみのお菓子です。スカートの部分にカラフルなリコリス・キャンディ柄がプリントされています。次のアラビアの踊りを披露するニッカボッカー・グローリーは、実はパフェなんです。ちょうどクリームのトッピング部分を模した帽子をダンサーは被っていますね。日本ではあまりピンと来ないかもしれませんが、イギリス本国では「ああ、あれね」と子どもたちにもよく知られているお菓子たちです。マシュマロ・ガールズについて「ヒールを履いての細かい足捌きに苦戦しましたが、懸命に練習していくうちに脚も自然と鍛えられて、ショーガールのようなたたずまいや足の運び方などを習得するいい学びにもなりました。マシュマロ・ガールズにも一人一人キャラクター・シートが用意されています。例えば、ジョージは泣き虫で迷子になりやすい、コーディは好きな子に対して意地悪をする、といった感じです。それぞれの年齢や家族構成まで設定されていて、ダンサーたちはそういったキャラクターを把握して初めて振付に入ります。マシュー自身、ストーリー性をすごく重視しています。リハーサルの最中でもそうですし、ツアー中も常にノート・セッションの時間があります。演技に対してもナチュラルであることを求められ、ダンスについても同様です」