2013年に始まった堀内充のバレエコレクション2019を観た。7回目にあたる今回は、1979年に初演された父・堀内完の振付を充が改訂振付した『小組曲』、1983年初演のやはり堀内完振付の『ジャズコンポとオーケストラの対話』、1998年初演の『ダンススイート』、2016年初演『horizon』、そして新作『hananoiroha...』という40年間にわたる5曲が上演された。

まずは堀内充自身が舞台に姿を現し、「お元気ですか、今日も踊りを披露します」といった気持ちを言葉は使わずに動きで見せた。
最初に上演された『小組曲』は、父・堀内完がクロード・ドビュッシーの同名の曲を使って、姉のかおりと兄の元と充のほか２名の全部で5人のダンサーに振付けたダンス。2台のピアノのために作曲された曲だが管弦楽版を使用している。今回の上演にあたり、充が12名のダンサーの踊りに改訂している。女性９人と男性３人が踊った。スローなテンポから、音楽の色調とともに次第に明るく軽やかな動きとなり、ドラマチックな表現へと変化する流れがスムーズで心地よかった。オープニングに相応しい爽やかな演目だった。初演当時には「世界に羽ばたくバレエ界の双子星」としてTVで紹介され話題を呼んだという。
『horizon』は大きな玉子を置いたような楕円形のフレームを舞台上に作った。これで遠近感が生まれて、観客は自然に地平線を感じることになる。ブルーと金色の衣装は身体のラインと動きを表現しやすいデザインだった。装置美術デザインは山口賢一。母校玉川大学パフォーミングアーツ科の学生たちと時間をかけて作ってきた作品だという。ダンサーたちがポーズをとったシルエットから始まり、力強い動きを軽快なテンポで展開した。ピアノの音とスタッカートな動きが、彼方への想いを込めて踊られた。音楽は現代ドイツ音楽家、フランク・フェダーセルのピアノ曲。

「horizon」© JIN KIMOTO

「ジャズコンボとオーケストラの対話」© JIN KIMOTO

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