イダ・ヴィキンコスキ、オニール 八菜、ジェレミー＝ルー・ケールなどが印象に残ったバランシン３作品、パリ・オペラ座
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掲載
ワールドレポート／パリ
- 三光 洋
- text by Hiroshi Sanko
Ballet de l'Opéra national de Paris パリ・オペラ座バレエ団
『MOZARTIANA』『BRAHMS-SCHÖNBERG QUARTET』『VIOLON CONCERTO』George BALANCHINE
『モーツアルティアーナ』『ブラームス・シェーンベルク・カルテット』『ヴァイオリン協奏曲』ジョージ・バランシン：振付
パリ・オペラ座バレエ団は10月22日から11月15日までガルニエ宮でバランシン作品を三つ取り上げた。なお、最初の5公演では今年の2月に亡くなったヴィオレット・ヴェルディへのオマージュとしてバランシンが彼女とジャン＝ピエール・ボヌフーのために1975年に振付けた『ソナチネ』（ラヴェル音楽）が、ミリアム＝ウルド・ブラームとマチアス・エイマンらの組み合わせで上演された。ヴェルディは18年間ニューヨーク・シティ・バレエのバランシンの元で活躍した後、パリに戻り、1977年から女性としては初めてオペラ座のバレエ監督に就任している。プルミエ公演ではオーレリー・デュポン バレエ監督が開演前に舞台に立ち、ヴィオレット・ヴェルディとイヴェット・ショヴィレの二人へのオマージュを述べた。10月19日に99歳で亡くなったイヴェット・ショヴィレは元オペラ座エトワールでフランス・ダンス界の至宝と呼ばれた人。1932年に15歳でコール・ド・バレエに入ってから、1972年にガルニエ宮でさよなら公演を行うまで、実に40年間にわたってオペラ座の舞台に立ち、『ジゼル』やセルジュ・リファール振付の作品でフランス・スタイルのエレガンスを体現した。
イヴェット・ショヴィレ (C) DR
『モーツアルティアーナ』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
『モーツアルティアーナ』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
実際に足を運ぶことのできた11月12日と14日の公演は、レパートリー入りとなった『モーツアルティアーナ』で始まった。この題名はチャイコフスキーがこの曲をモーツアルトへのオマージュとして作曲したことに由来しており、バランシンが1933年にパリのシャンゼリゼ歌劇場で振付けたものを、1981年に手直ししてニューヨークのチャイコフスキー・フェスティヴァルで発表した。
クラシックの7人のダンサーと4人のバレエ・スクール生徒が登場したが、ミリアム＝ウルド・ブラームとマチアス・エイマン（12日）、セ・ウン・パクとジョシュア・オファルト（14日）とどちらも個性的なカップルで印象的だった。セ・ウン・パクは11月の昇級試験でプルミエール・ダンスーズに昇格が決まったばかりだが、やや憂いを帯びた表情が明るい輝きを持ったオニール 八菜と月と太陽のように好対照をなしている。このアジア出身の二人のダンサーはいずれも将来が楽しみだ。
『モーツアルティアーナ』マチアス・エイマン
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
次に演じられたのは『ブラームス・シェーンベルク・カルテット』だった。昨シーズン末の7月2日にレパートリー入りしたばかりの作品で、カール・ラガーフェルドの黒と白のしゃれた衣装が話題になった。
ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ、アマンディーヌ・アルビッソン、ステファン・ブリヨン、アリス・ルナヴァン、ジョシュア・オファルト、カール・パケットといったエトワールがずらりと並んだ豪華なキャストで、バランシンならでは音楽と一体となった身体の動きの妙で観客を魅了した。また第1楽章に出演したイダ・ヴィキンコスキがエレガントな舞いを見せ、14日の第二楽章にはオニール 八菜がフロリアン・マニュネを相手に元気な姿を見せてくれた。
『ブラームス・シェーンベルク・カルテット』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
『ブラームス・シェーンベルク・カルテット』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
『ブラームス・シェーンベルク・カルテット』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
『ブラームス・シェーンベルク・カルテット』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
『ブラームス・シェーンベルク・カルテット』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
『ブラームス・シェーンベルク・カルテット』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
『ブラームス・シェーンベルク・カルテット』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
『ブラームス・シェーンベルク・カルテット』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
『ブラームス・シェーンベルク・カルテット』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
『ブラームス・シェーンベルク・カルテット』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
最後の『ヴァイオリン協奏曲』はパリ・オペラ管のフレデリック・ラロックが高度の技術を求められるストラヴィンスキーの曲に、熱気のある演奏で息吹を吹き込み、ダンサーたちに大きなエネルギーを送った。12日はユゴー・マルシャンの広がりを感じさせる動き（アリア１）とオードリック・ブザールを相手にしたエレオノーラ・アバニャート（アリア２）、14日では気品あふれるジェレミー＝ルー・ケールを相手に、華やかに踊ったオニール 八菜（アリア２）が記憶に残った。
（2016年11月12日、14日 ガルニエ宮）
『ヴァイオリン協奏曲』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
『モーツアルティアーナ』（レパートリー入り）
音楽 チャイコフスキー（組曲第4番ト長調作品61）
振付 ジョージ・バランシン（1981年）
振付指導 マリア・カレガリ
衣装 ルーベン・テル＝アルトゥニアン
照明 マーク・スタンレー
ダンサー ミリアム＝ウルド・ブラーム、マチアス・エイマン、ファビアン・レヴィヨン、セ・ウン・パク、イダ・ヴィキンコスキ、エミリー・アズブーン、クレール・ガンドルフィ（12日）
セ・ウン・パク、ジョシュア・オファルト、アルチュス・ラヴォー、イダ・ヴィキンコスキ、エミリー・アズブーン、カミーユ・ボン、クレール・ガンドルフィ（14日）
パリ・オペラ座バレエ学校生徒
『ブラームス・シェーンベルク・カルテット』
音楽 ブラームス「ピアノと弦楽のための四重奏曲 作品25」のシェーンベルクによるオーケストラ版（1937年）
振付 ジョージ・バランシン（1966年）
本公演指導 マリア・カルガリ、バート・コック
衣装・装置 カール・ラガーフェルド
照明 マーク・スタンリー
ケヴィン・ローデス指揮パリ国立オペラ座管弦楽団
ダンサー（12日）
第1楽章（アレグロ）ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ、イダ・ヴィキンコスキ他
第2楽章（インテルメッゾ）アマンディーヌ・アルビッソン、ステファン・ブリヨン他
第3楽章（アンダンテ）メラニー・ユレル、アルチュス・ラヴォー他
第4楽章（ロンド・アラ・チンガレーゼ）アリス・ルナヴァン、ジョシュア・オファルト他
（14日）
第1楽章（アレグロ）ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ、イダ・ヴィキンコスキ他
第2楽章（インテルメッゾ）オニール 八菜、フロリアン・マニュネ他
第3楽章（アンダンテ）セ・ウン・パク、ファビアン・レヴィヨン他
第4楽章（ロンド・アラ・チンガレーゼ）ヴァランティーヌ・コラサント、カール・パケット他
『ヴァイオリン協奏曲』
音楽 ストラヴィンスキー（ヴァイオリン協奏曲ニ長調）
振付 ジョージ・バランシン（1972年）
本公演指導 バート・コック
照明 マーク・スタンレー
ヴァイオリン独奏 フレデリック・ラロック
ダンサー（12日）
アリア１ アマンディーヌ・アルビッソン、ユゴー・マルシャン
アリア２ エレオノーラ・アバニャート、オードリック・ブザール他
ダンサー（14日）
アリア１ オニール 八菜、ジェレミー＝ルー・ケール
アリア２ ミュリエル・ジュスペルギ、ポール・マルク他
『ヴァイオリン協奏曲』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
『ヴァイオリン協奏曲』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
『ヴァイオリン協奏曲』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
『ヴァイオリン協奏曲』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
『ヴァイオリン協奏曲』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
『ヴァイオリン協奏曲』
(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé
『ヴァイオリン協奏曲』(C) Opéra national de Paris/ Sébastien Mathé