個性豊かなダンサーたちによる『卒業記念舞踏会』『マドレーヌ』『胡桃割り人形』のトリプルビル

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

環バレエ団「バレエコンサート」

『卒業記念舞踏会』岡田兼宜:振付、『マドレーヌ』サイトウマコト:振付ほか

トリプルビルの3作品すべてで、宮田愛里と池田由希子が重要な位置を担っているのを実感した舞台だった。
はじめに上演されたのは、岡田兼宜がオリジナルに振付けた『卒業記念舞踏会』。サイトウマコトが士官学校を率いる老将軍を、岡田自身が女装して女学校の校長を演じて良い味を出していた。また、メガネを掛けた卒業生を演じた宮田愛里を筆頭に、関西のダンサーはやはりコミカルなものがお得意とあらためて感じながら楽しく観た。

A-Tamaki-Ballet-Concert-「卒業記念舞踏会」 撮影:テス大阪.jpg

『卒業記念舞踏会』
学校長:岡田兼宜、老将軍:サイトウマコト 撮影:テス大阪

B-Tamaki-Ballet-Concert-「卒業記念舞踏会」 撮影:テス大阪.jpg

『卒業記念舞踏会』 撮影:テス大阪

E-Tamaki-Ballet-Concert-「マドレーヌ」 撮影:テス大阪.jpg

『マドレーヌ』 撮影:テス大阪

2作目はサイトウマコトの新作『マドレーヌ』。オランダの作曲家シメオン・テン・ホルト(Simeon ten Holt)のミニマル音楽『Canto Ostinato』に乗せて、バックホリゾントに映し出されるヴィジュアルは、仙石彬人〔TIME PAINTING〕が、上手前でリアルで水面にインクを使って創り出すようなものが投影されて。題名の『マドレーヌ』というのは、マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』の冒頭で「ひとかけらのマドレーヌの香りと味覚が、忘れられていた過去を鮮やかによみがえらせる場面」に由来しているということ。
19人のダンサーが出演したが、それぞれのダンサーの内側に眠るものを引き出そうとしたようだった。サイトウは、一人ひとりのダンサーの持っているものに丁寧に向き合う振付家だとあらためて思う。

そしてラストは、『胡桃割り人形』より第3幕~お菓子の国~。金平糖の精を池田由希子、王子を上村崇人、クララを宮田愛里が踊り、それぞれディヴェルティスマンとともに、クラシックの名作を華やかに観せた。池田の金平糖は、柔らかさもありながら、シャープな魅力のある踊りだった。彼女はコンテンポラリー『マドレーヌ』では、かなり違う魅力を見せていた。これからも楽しみなダンサーだ。
(2026年8月23日 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール)

C-Tamaki-Ballet-Concert-「マドレーヌ」 撮影:テス大阪.jpg

『マドレーヌ』 撮影:テス大阪

G-Tamaki-Ballet-Concert-「マドレーヌ」 撮影:テス大阪.jpg

『マドレーヌ』 撮影:テス大阪

I-Tamaki-Ballet-Concert-「胡桃割り人形より第3幕お菓子の国」 撮影:テス大阪.jpg

『胡桃割り人形』より第3幕~お菓子の国~
クララ:宮田愛里 撮影:テス大阪

L-Tamaki-Ballet-Concert-「胡桃割り人形より第3幕お菓子の国」 撮影:テス大阪.jpg

『胡桃割り人形』より第3幕~お菓子の国~
金平糖:池田由希子、王子:上村崇人 撮影:テス大阪

J-Tamaki-Ballet-Concert-「胡桃割り人形より第3幕お菓子の国」 撮影:テス大阪.jpg

『胡桃割り人形』より第3幕~お菓子の国~
金平糖:池田由希子、王子:上村崇人 撮影:テス大阪

記事の文章および具体的内容を無断で使用することを禁じます。

ページの先頭へ戻る