ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Paris <パリ>: 最新の記事

From Paris <パリ>: 月別アーカイブ

斎藤 珠里 text by Julie Saito 
[2008.06.10]

THEATRE DE LA VILLE パリ市立劇場の舞台から

SANKAI JUKU, USHIO AMAGATU : TOBARI 山海塾、天児牛大による新作:『帳(とばり)』

 

『帳』

  パリ市立劇場で1982年から上演を重ね、13の新作を同劇場と共同制作してきた「山海塾」が5月5日~10日、『帳』を世界初演した。客席には各世代 にわたってカップル連れが多く、ほかのダンス公演と比べても一家言ありそうな、インテリ層と見受けられる客層が目立つ。いまやパリで不動の地位を確立した 「山海塾」の新作発表は、どのようにフランス人の観客たちに受け止められるのだろうか。5月8日の公演を観た。
舞台はいたってシンプル。中央に白い大きな円形が描かれているだけだ。背景には時折、銀河系が映し出され、シンセサイザーの音楽とあいまって、観客はし ばし宇宙に漂っているような錯覚を覚えた。中でも天空の星空をバックに、青い衣装で踊る場面はヴィジュアル効果が抜群で、終演後に「美しかった」という感 想があちらこちらからもれ聞こえた。
しかし、これまでの天児の作品と比べると、作品の構成そのものが単調だった嫌いがある。公演プログラムには、「帳」が室内空間を仕切るために用いられる 衣であることの説明があったが、今回の作品に「帳」が果たした意味合いが、私には伝わってこなかった。群舞とソロの使い分け、流れ、関連性・・・にも、明 確なポリシーが見えない。小さな動きの積み重ねが大きなうねりを生むという、天児本来の世界観が感じられなかったのは残念だった。

『帳』 『帳』