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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2006.04.10]

オペラ座ダンサーたちの顔見せ、ニルス・タヴェルニエ監督『オロール(オーロラ姫)』

既報のように、映画『オロール(オーロラ姫)』が3月22日から封切りになった。映画自体は、踊りに夢中な王女を中心にした空想的なストーリーだが、王 妃が側近に毒殺される辺りから、悲劇的なムードが濃くなっていく。童話の背後に隠されている残酷な側面をあえて引き出したかのように。
もっともストーリーがどうであろうと、この映画からは、監督のオペラ座バレエ団に対する愛着の強さがひしひしと伝わってくる。これだけオペラ座のダンサーたちが出演している映画も珍しいが、全くオペラ座のダンサーたちのために作ったような感さえある。

まず主役のオーロラ姫に扮したマルゴ・シャトリエからプロフェッショナルな踊りを見せてくれるのがうれしい。彼女はオペラ座バレエ学校の2年生で、ブロンドが美しく、カールソンの振付を優雅に踊っている。
そして、王女が恋心を抱く肖像画家バンジャマンを演じたニコラ・ル・リッシュの存在感がなかなかのもの。監督は彼のためにこの役を考えたそうだが、気どらず自然体で画家に扮したル・リッシュがアトリエに佇む姿が絵になる。
王女に求婚するアブダラ王子にカデール・ベラルビ、ヌフシャテルの王子にヤン・ブリダール。なおジパングの王子には、竹井豊が扮し、山海塾のような舞踏 を王女に見せるので驚かされるが、これは王女の運命を暗示しているのだという。また王女を天に導く妖精役にメラニー・ユレルが扮している。

さらに舞踏以外のダンス・シーンでは、オペラ座バレエ団が大活躍。オリエンタル・ダンスを妖艶に踊るマリ=アニエス・ジローがひときわ輝いているが、群 舞の中にブルーノ・ブシェ、アリス・ルナヴァンなどオペラ座のダンサーたちの姿が入れ替わり立ち替わり見られるのはファンにはたまらないだろう。
この映画のロケには、『眠れる森の美女』の舞台となったユッセのシャトーが使われており、おとぎの世界の雰囲気を忠実に伝えている。