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斎藤 珠里 text by Julie Saito 
[2007.09.10]

OPERA NATIONAL DE PARIS Saison 2007/2008 パリ・オペラ座 2007/2008年のプログラムから

Wuthering Heights 嵐が丘
マリ=アニエス・ジロ、ニコラ・ル・リッシュ


2007年~2008年シーズンはカデール・ベラルビ振付『嵐が丘』で9月21日~10月6日、ガルニエ宮で幕を開ける。2002年にパリ・オペラ座で 初演され、2005年にも再演された人気作品で、前回の舞台評を本コラムで書いた渡辺真弓さんも絶賛している。エミリー・ブロンテの原作に描かれた男女の 愛憎劇に焦点をあてつつも、シーズンによって異なる踊り手の資質を活かす形でベラルビは修正を試みてきているという。
一昨年の舞台で名コンビを組んだマリ=アニエス・ジロとニコラ・ル・リッシュは、今年もデュエットを踊る。もう一人のヒースクリフ役にはジェレミー・ベ ランガール。ベランガールが持ち味とする不良っぽさと野性味は、孤児としてもらわれてきたことで心に傷を負いながらも、兄弟同様に育ったキャサリンを一途 に愛する役柄にぴったりに違いない。ベランガールの相手役と推測されるキャサリン役にはルテシア・プジョル。大人の愛を描きそうな前者カップルに比べて、 後者のカップルは生身の傷をさらけ出す男と、癒し系の女の情のもつれあいに発展しそうだ。
現時点で発表されているその他の配役は以下のとおり。
エドガー(キャサリンの夫、妻は本心ではヒースクリフを愛していたことを知る):ジャン=ギヨーム・バール、カール・パケット
イザベル(エドガーの妹、ヒースクリフの復讐に利用されて結婚し、不幸になる):ノルヴェン・ダニエル、ミュリエル・ズュスペルギー
ヒンドリー(キャサリンの兄、幼いころにいじめたヒースクリフの復讐を受ける):ステファン・ブイヨン、エマニュエル・ホフ
ネリー(キャサリンの父親が生きていたころから一部始終を見てきた古女中): セリーヌ・タロン、ローレンス・ラフォン

音楽は、フィリップ・エルサンによるオリジナル。美術と照明はペーター・パブスト、衣装はエルザ・パヴァネル。演奏は、コーエン・ケッセルズ指揮パリ国立オペラ座管弦楽団。
料金は、6~80ユーロ。ネットでの予約は、以下のサイトを参照のこと。
http://www.operadeparis.fr/Saison-2007-2008/Ballets.asp

マリ=アニエス・ジロ
マリ=アニエス・ジロ マリ=アニエス・ジロ
ニコラ・ル・リッシュ
ルテシア・プジョル
カール・パケット


Sasha Waltz:ROMEO ET JULIETTE
サシャ・ヴァルツ振付『ロミオとジュリエット』


ベルリン在住の女流振付家サシャ・ヴァルツが、フランスのロマン派音楽を代表するエクトル・ベルリオーズの劇的交響曲『ロミオとジュリエット』に振付けた新作が10月5日~20日、バスティーユ劇場で初演される。
ベルリオーズは23歳のときに英国から巡業で公演していたシェイクスピア劇団の『ロミオとジュリエット』を見て、ジュリエット役を演じた女優に惚れこ み、結婚まで漕ぎついたことで知られる。その女優の人間性ではなく、ジュリエットとしての女性に恋をしたという説もあるぐらいだから、ベルリオーズにいか に影響を与えた作品だったかがわかる。そして最初に芝居『ロミジュリ』を見てから12年後の1839年、指揮台に立って自らの作曲『ロミオとジュリエッ ト』を発表した。
残念ながら、オペラ座ではどのような形式で上演されるのか、現時点では明らかにされていない。しかし、ベルリオーズの音楽的構成を紹介することで、サシャ・ヴァルツが思いを馳せる世界に期待を寄せていただければ幸いだ。

『ロミオとジュリエット』

  全体は3部構成。第1部は、メゾ・ソプラノと合唱によって進行する。モンタギューとキャピレット家の仲たがいが原因で、ロミオとジュリエットの悲劇が語られる。
第2部は、器楽が中心で、ロミオがクローズアップされる。美しいキャピレット家の舞踏会を彷彿とさせる場面だ。
第3部は、ジュリエットの葬式の場面にロミオがやってきて、何も知らずに服毒自殺を遂げてしまう。やがて目を覚ましたジュリエットが自害を図る、という バレエでもお馴染みの悲劇のエンディングだ。ベルリオーズの作品では、ここでロレンス神父が二人の尊い命を失わせてしまった両家をいさめたところで、両家 和解の大合唱へと発展。大編成の管弦楽も音色豊かに悲劇のクライマックスを演出する。

バレエ団からはエトワールやプレミエ・ダンスーズをはじめ群舞も参加して音楽と舞踊のコラボレーションが図られる。
指揮は、今年1月にロンドン交響楽団の首席指揮者に就任したワレリー・ゲルギエフと、バレエ作品ではお馴染みのヴェロ・パーン(10月16、17、20日)、演奏はパリ国立オペラ座管弦楽団および合唱団。
そのほかの歌手は、以下のとおり。
ジュリエット:来年、初来日公演を行うパリ・オペラ座の「トリスタンとイゾルデ」にも配役されているエカテリーナ・グヴァノヴァ(メゾ・ソプラノ)
ロミオ:ヤン・ブロン(テノール)
ロレンス神父:ミハイル・ペトレンコ(バス)

この作品に関してはオペラ料金が適用されるため、5~130ユーロ。
『嵐が丘』および『ロミオとジュリエット』のチケット予約は、以下のオペラ座サイトで申し込める。
http://www.operadeparis.fr/Saison-2007-2008/