ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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斎藤 珠里 text by Julie Saito 
[2007.04.10]

SPECTACLE DE'ECOLE DE DANSE 学校公演にエトワールの素養のぞく

George Skibine :Le Prisonnier du Caucase スキビン振付『コーカサスの囚人』

 ハチャトリアンの音楽を用いて、民族舞踊が散りばめられたスピーディでエネルギッシュな作品だ。舞台は19世紀初頭、ロシアとコーカサスの戦い。ロシアの兵士がコーカサスの民族のひとつチェルケス部族に囚われるところから物語が始まる。
空中でのピルエット、片足を宙でパッセする跳躍の連続---のっけから群舞のテクニックに圧倒されるが、最高学年の1学年(第1ディヴィジョン)の生徒 たちが見せ場をつくる。囚人役のナンス・ピアソンは小柄だが、やわらかい身体から紡ぎだされる微妙なニュアンスが、とらわれた男の悲しみを伝える。女子の カリスタ・ルアはすでにエトワールの素養を感じさせる物腰と、安定したテクニックで、囚人と恋に落ちるチェルケチェンカ姫を演じた。
チェルケス部族の女性たちの群舞には、映画『オーロラ』に出演したマルゴ・シャトリエ(2学年)などに混じって、先ごろ引退したエトワールのローラン・イレールの次女ヴァロンティンが4学年から抜擢されていた。

『コーカサスの囚人』


AUGUST BOURNARWILLE : NAPOLI ブルノンビル振付『ナポリ』

デンマークを代表するブルノンビル・テクニックを味わえる作品で、学校の校長エリザベット・プラテルも手を加えたという。自らも踊りながら指導した。特 筆すべきは、難易度の高いアダージオを見せたマイク・デリュア(1学年男子)とマリオン・バルボー(2学年女子)だろう。

『ナポリ』


JOHN NEUMEIER : YONDERING ノイマイヤー振付『ヨンダーリング』

フォスターの音楽、アメリカ西部の大衆歌(バリトン歌手トーマス・ハンプソンによる録音テープ使用)が全編に流れ、若き男女の初々しい恋心が描かれる。 ポワントは履かず、強いていえばコンテンポラリーダンスの領域に入る作品だ。アメリカの自然、広々とした平原、青い空が感じられるような伸びやかさを生徒 たちが表現する。アメリカ音楽の爽快感が身体表現の奥深くまで浸透しているような動きの自然さは感服に値する。
日ごろからコンテンポラリーダンスの授業にも力を入れていること、オペラ座バレエのル・フェーブル芸術監督の現代ものを推奨してきた背景が、生徒たちの 力量に確実に反映していると感じた。2人の男性と1人の女性によって踊られる「ビューティフル・ドリーマー」では、1学年に所属する日系人のタケルが存在 感のあるプレースメントで好演していた。

『ヨンダーリング』