ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Paris <パリ>: 最新の記事

From Paris <パリ>: 月別アーカイブ

斎藤 珠里 text by Julie Saito 
[2006.09.10]

BIENNALE DE LA DANSE 2006 LYON リヨン・ダンス・ビエンナーレ

 パリからTGVで約2時間。絹織物工業で栄えたフランス第二の地方都市リヨンで9月9日~30日、2年に一度のダンス・ビエンナーレが開催される。22 年前にスタートしたビエンナーレは今年で12回目。フランスを中心に世界各地からアーティストが集い、ここ数年は8万人前後の集客を誇るまでのダンスの祭 典に発展している。毎回、テーマが異なるところが特徴だ。これまでに扱われたテーマを少し遡って紹介すると、「地中海」(1998年)、「シルクロー ド」(2000年)、「ラテンの大地」(2004年)、そして今年のお題は「都市のダンス」だ。

日本からも2団体が招聘されている。伊藤キムが三島由紀夫の小説にインスピレーションを受けて振付けた『禁色』を、白井剛と共に11、12日に公演する。 昨年秋から世界放浪の旅に出ていた伊藤が、今度はどんな『禁色』を見せてくれるのか。もう一組は、昨年のトヨタ・コレオグラフィー・アワードで「次代を担 う振付家賞」を受賞した隅地茉歩。阿比留修一と結成したカンパニー「セレノグラフィカ」が19~21日に受賞作『それをすると』を上演する。作品は、西陣 織で栄えた京都を舞台に、工場で働き疲れて家に戻った夫婦の日常をイメージして描いたという。同じく織物で知られるリヨンでどう受け止められるのか興味深 いところ。

バレエ・カンパニーも次の3団体が参加する予定だ。
BALLET DE L'OPERA DE LYON
リヨン・オペラ座バレエ団(10、12、13、14、15日。リヨン・オペラ座)

バレエ・テクニックをベースとするコンテンポラリー作品を数多く上演している同団の踊り手たちは、いずれも世界各国から集まってきた先鋭ダンサーたちだ。 日本からも太田垣悠が所属している。今回の演目は、振付家ラシド・ウーラムダンが同バレエ団のダンサーたちとの対話からインスピレーションを受けた作品を 発表する。もう一作品も、ニューヨークに拠点をもつ振付家テール・オコナーによる新作。ヨーロッパでは無名に近いが、アメリカでは「ダンスの詩人」の異名 で知られる身体言語を操る。

BALLET NATIONAL DE MARSEILLE
国立マルセイユ・バレエ団(20日、22日。リヨン・オペラ座)
カンパニーを率いるフレデリック・フラモンが、イラク系英国人建築家ザハ・ハディッドとのコラボレーションで創作する『メタポリス2006』を発表する。 ハディッドは、建築家に贈られる最も権威のあるプリツカー賞の受賞者で、2005年にマルセイユ市のタワー設計を依頼されたことから二人は偶然出会う。都 市が変遷してゆく過程に市民はどのように関わっているのかーー。そんな疑問、イメージを膨らませてゆくことでフラマンはダンサーたちを動かし、ハディッド は舞台美術・衣装に思いを馳せたという作品だ。

LES BALLETS C. DE LA B
ベルギー・コンテンポラリー・バレエ(26~28日。シテ・インターナショナル)
 もともとの名称のベルギーの頭文字Bとコンテンポラリーの頭文字Cをとって、現在は上記のような表記を用いるカンパニーだ。設立者のアラン・プラテル は、ダンサーたち全員で作品を振付けることをモットーにしている。ダンサーたちに自由に動いてもらい、その中から動きをつなぎあわせてゆく指揮者のような 役目を自ら買っている。
 今回の作品は、『vsprs』。作曲家モンテベルディの『乙女マリアのための夕べの祈り』(1610年)にインスピレーションを受けた創作だ。16歳の ころにモンテベルディの宗教曲の虜になったというプラテル。そこから宗教観、神秘主義、エクスタシー・・・にまで想像力を膨らませる一方で、「人々を分か つもの、結びつけるものは何なのか」という質問を作品に問いかけたかった、という。

リヨン・ビアンナーレのサイトは、www.biennale-de-lyon.org