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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2006.04.10]

シネマテックでヌレエフ主演の『マルコ・スパダ』上映

 3月17日のヌレエフの誕生日にちなんで、毎年シネマテック・ド・ラ・ダンスでは、 この世紀の天才舞踊家を偲ぶ催しを企画しているが、今年は、3月13日転居したばかりのベルシーの建物で、<ルドルフよ永遠に>と題して、ヌレエフが主演 したラコット版『マルコ・スパダ』の珍しい映像を公開し、満員のファンを興奮させた。

『マルコ・スパダあるいは盗賊の娘』3幕のバレエ・パントマイムは、オーベール曲、マジリエ振付で、1857年にパリ・オペラ座で初演されたが、これを復 活させたのがラコットで、1981年ローマ歌劇場で復活初演。キャストは、盗賊のスパダがヌレエフ、その娘アンジェラがギレーヌ・テスマー、アンジェラの 恋人フェデリチがミカエル・ドナール。同じ顔ぶれによる舞台を翌年の1982年、やはりローマ歌劇場で中継した(RAI放映)のがこの映像で、3大スター の夢のような顔合わせに客席からしばしば拍手がわき起こるほどだった(テスマーとドナールは会場に姿を見せていた)。テスマーによれば、この舞台の頃、ヌ レエフは原因は分からないが、体の不調を訴えていたという。それでも、第1幕の広場で踊られるソロのバネのある踊りは素晴らしいし、怪盗ルパンを思わせる 陽気なキャラクターは、ヌレエフにぴったり。確かこの翌年パリ・オペラ座で中継録画された『ライモンダ』でジャン・ド・ブリエンヌを踊っていたヌレエフ は、かなり衰えが目立っていたが、このスパダは全盛期の延長にあるかのようだ。

なおこのラコット版がオペラ座のレパートリーに入ったのは、1984年のことで、シリル・アタナソフ、ヌレエフ、パトリック・デュポン、テスマー、モニ ク・ルディエール、フロランス・クレール、クロード・ド・ヴュルピアン、ヤニック・ステファン、ドナール、ジャン=イヴ・ロルモー、オリヴィエ・パテ、 ジャン=ピエール・フランケッティ、パトリス・バール、ジョルジュ・ピレッタらが交替で出演した。それ以来、スパダの冒頭のソロが、オペラ座の進級試験で 踊られるほか、オペラ座では上演されていない(ラコットが監督を務めたナンシー、モンテカルロでは上演)。いつか再演のチャンスが訪れるとうれしい。